京都民報
なるほど京都

京の菓子暦

茶の湯と京文化に磨かれ、育まれた京の和菓子。四季折々の京の和菓子を紹介します。

甘楽花子 坤庵

ういろう

 花の季節を迎えるとお菓子の世界では「ういろう」の出番です。餡玉を包んだり、伸ばした生地を裁断して折り畳んだり…。適度な粘りと歯切れの良さが身上です。漢字で書くと「外郎」。歌舞伎十八番の外題もこの字を当てています。歌舞伎ではお薬でお菓子ではありません。生地も誤解されている方が多く、「これは求肥ですか、お餅ですか」「棹物ではないのですか」などとよく聞かれます。材料は米粉、砂糖、水。強火で一気に練り上げて、蒸しにかけます。加える水の量で名古屋名物の棹物・ういろう、京都の水無月にもなります。
 ういろう生地は伸ばすと“透ける”特製があります。中の餡とういろうの色付けの組み合わせで、季節に合わせた様々な色目の意匠を楽しむことができます。3月には「花衣」「佐保姫」、4月には「胡蝶」、5月には「唐衣」「藤」など四季の風情を表せる生地です。

  • ういろうは上白糖、水、米の粉からつくります。
  • 底の狭い深鍋に上白糖、米の粉の順に入れ泡だて器等で充分混ぜ合わせます。

  • 鍋の真ん中に水を入れながら、泡だて器で混ぜ合わせます。
  • 溶け合って液状になったら、色付けします。

  • 強火で一気に練り上げます。
  • 強火で30分蒸し上げ、蒸しムラ、色ムラのないように練り合わせます。

  • つくるお菓子の数の分だけ計量し5分~10分二度蒸しします。 このときは生地の上に蒸気が通るように穴を開けておきます。
  • 蒸しあがったら、まとめて切り分けます。

  • 切り分ける折、手に付きやすいので砂糖蜜を手に付けながら作業します。
  • 10

    切り分けた生地を丸めて、表面にスジやシワのない状態にしておきます。

  • 11

    二色の生地を合わせて丸めます。
  • 12

    片栗粉の取り粉を使いながら、丸めた生地で餡玉を包んでいきます。

  • 13

    包み変わったら形を整えるように掌の上で丸めます 。
  • 14

    取り粉がついたまま布巾で絞ります。

完成

「春陽」の出来上がりです。
生地を色づけせず白いまま使い、中の餡を色づけしても 同じようにできますが、もう少し色は淡くなります。