京都民報
なるほど京都

京の菓子暦

茶の湯と京文化に磨かれ、育まれた京の和菓子。四季折々の京の和菓子を紹介します。

甘楽花子 坤庵

4月

菜種巻(なたねまき)【こなし、白餡】

菜種巻菜の花や 月は東に 陽は西に (蕪村)
  のどかな春の夕景を詠み込んだ句です。こなしの緑と白餡の黄を巻物にし、小口切にしてこんな情景を表現しています。
「こなし」とは白餡、漉し餡等に小麦粉を混ぜ、蒸して練り、色をつけた生地のことで、小麦粉のグルテンが程よい粘りを出し、扱いやすくなるため、包む、伸す、巻く、いろいろに利用できます。また、練る折に色も自在につけられるので、襲(かさね)にしたり、ぼかしたり、意匠に応じた彩色の楽しみもあります。