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大腸癌

適度な運動と緑黄色野菜たっぷりとる

イメージ

癌の主要部位・年次別・性別・年齢調整死亡率
大腸がん
 大腸癌で人工肛門を造るのは希である。大腸癌の初期症状は下血である。大腸癌はよほど進行しない限り痛まない。こんなイメージはかなり良い線行っています。大腸癌は食生活の欧米化に伴い、増え続けている癌の一つです。女性がかかる癌の1位か2位、男性でもベスト5の常連です。また、大腸癌は早期発見できる癌で治りやすい癌とも言われています。

原因

 大腸の細胞に遺伝子異常が起きて最初から癌になる場合もありますが、一度ポリープができ、さらにそのポリープに異常がおこり癌になるという2段構えの発癌もあります。従って、大腸ポリープの多くは大腸癌の芽とも言えます。だから、ポリープは大きくなったら(通常5ミリ以上)治療(大腸ポリペクトミー)が必要なのです。生まれつき遺伝子に異常を起しやすい方もいます。大腸癌の2%以上は遺伝性です。また、遺伝以外の危険要因として生活習慣があげられます。肥満で結腸(直腸以外の大腸)癌になりやすく、飲酒や加工肉(ベーコン、ハム、ソーセージなど)、喫煙は発癌の危険を高めることが推定されています。

予防

 おすすめできる予防策は適度な運動と野菜をたっぷりとることです。楽しく、無理無く続けられる運動を探しましょう。関節を痛めている方、心臓に不安を抱えている方は担当医と相談してみてください。食生活では緑黄色野菜を毎日たっぷりとりましょう。

こういう場合は受診が必要

 大腸癌発見の鍵は便の中に潜んでいます。便の赤信号を見逃さないことです。自分の便に血が混じっていないか確認するのです。明らかに血が付いている場合は受診が必要です。下部消化管のどこかに出血源があるからです。痔が原因かもしれませんが、痔があるからといって安心はできないのです。直腸癌と、痔の症状は大変にています。『痔だと思っていたら直腸癌だった』という人が後を絶たないのです。

大腸癌検診

 便の中に潜んだ出血を調べる検査です。2日分の便を調べ、いずれの便にも血が混じっていなければ検査結果は陰性です。いずれか一方でも血が混じっていた場合、検査結果は陽性、出血源が確実にあると言えます。この検査では癌の有無はわかりません。この検査で陽性がでた場合、大腸内視鏡検査が必要なのです。検診で発見された癌は早期癌が多く、完治の確率が高いのです。

大腸癌の治療

 早期癌の場合、大腸内視鏡で治療ができる場合があります。進行癌でも最近では腹腔鏡下手術が主流になりつつあります。腹腔鏡下手術は手術の傷が小さいばかりではなくストレスも少なく、回復も早い。入院期間も1~2週間と短くなっています。ただし、全ての手術が腹腔鏡でできるわけではありませんので担当医師と相談したり、他の施設に意見を聞きにいく(セカンドオピニオン)などして、納得して治療に望むことが重要です。
京都民医連中央病院  外科 川島 市郎
大腸と大腸がんの発生頻度
大腸がん大腸内視鏡で治療できるのは早期癌のみで、それ以外の大腸癌の治療には癌付近のリンパ節を含めた腸管切除が必要です。人工肛門は、肛門近くの癌(肛門皮膚縁から4~5センチ以内にある癌)の手術の場合には必要です。(文献 城敏明他:直腸癌に対する術式の選択 外科治療62巻3号 1990年)
2009年12月16日 13:07 |コメント1
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