医療+暮らし

上手に付き合おう更年期(1)

誰もが通る、いつか必ず治る病気
更年期
 日本人の平均寿命は80歳の時代を迎えていますが、閉経の時期は昔も今も、50歳前後が一番多いと言われています。閉経前後数年間のことを特に更年期と言いますが、今や誰もが経験する人生においての通過点です。近年、更年期に関するとらえ方や治療法について、大きな変化がありました。

更年期障害って?

更年期
 更年期というのは卵巣の老化によって起こる女性ホルモンの急激な減少による様々な症状のことを言います。多くの方が生理不順や不正出血から更年期の入り始めを自覚され、ほてり・冷え・発汗・動悸・頭痛・肩こり・体のだるさのような身体の症状から、不眠・いらいら・集中力の欠如・うつ状態のような精神的症状まで、実に多彩な症状が現れることがあります。また、更年期以降、閉経されてから数年以上経ちますと、外陰部の不快感や排尿障害、骨粗鬆症の急激な進行が多く見られます。

ホルモン補充療法について

 更年期障害は女性ホルモンの不足が原因ですので、西洋医学的に考えれば、少なくなったホルモンを薬で補えばいいということになります。これをホルモン補充療法(HRT)と言います。当院のアンケートでは60~70%の方に効くことがわかっています。
 ただし、ホルモン剤特有の副作用として、不正出血・乳房の張り、また稀ですが重要なものに血栓症(いわゆるエコノミークラス症候群)や乳癌の発症リスクの上昇等があり、喫煙者や高血圧・糖尿病等の動脈硬化の危険性が高い方、あるいは近親者に乳癌の患者様がいらっしゃる方は注意が必要です。

他の治療法について

 最近はより多彩な治療方法が考えられています。日本特有の治療法としては、漢方薬があります。また、更年期障害の症状は人によりますので、それぞれの症状に対する薬を使ってみることもいいでしょう。しかし、一番重要なことは、更年期は誰もが通る道、そしていつか必ず治る病気だということです。
 時々、医療懇談会などでお話しさせて頂く機会がありますが、私のような医療関係者がお話しさせて頂くよりも、経験者の「どう乗り越えたか」「どんな症状が更年期障害なのか」「症状が出たらどうしたらいいのか」という体験談を聞いて頂き、おしゃべりして頂く中で、自分に合った治療法を考え、工夫して頂くのが一番いい治療法のような気が致します。
京都民医連中央病院 産婦人科科長 中村光佐子
2009年8月31日 17:03 |コメント0

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