医療+暮らし

頭痛は病気です

我慢せず専門医の診察を受ける
頭痛
 日本人の4人に一人が一生に一度は頭痛を経験します。このように多い病気ですが、あまり理解されていません。今回は頭痛についてお話します。

「怖い」と「怖くない」

 頭痛と一口に言いますがその原因はさまざまです。大事なことは(1)怖い頭痛と(2)怖くない頭痛があることです。
(1)怖い頭痛!?
 これは脳に重大な病気が生じて起きる頭痛です。たとえば、くも膜下出血、脳腫瘍、髄膜炎などがあります。日頃、頭痛を経験しない方が急に頭の痛みを感じた場合、いつもと違う頭痛を自覚した場合、頭痛の程度がどんどんひどくなる場合などは、このタイプの頭痛の可能性があります。すみやかに神経内科または脳神経外科などの専門医を受診してください。

(2)怖くない頭痛??
 このタイプは3種類の頭痛(緊張型頭痛、片頭痛、群発頭痛)があります。いわゆる「頭痛」はこの何れかです。
 最も多いのは「緊張型頭痛」です。これは、肩こりや頚椎の変形、睡眠不足、精神的なストレスなどが原因で生じます。「頭が締め付けられるような」、「頭にお椀がかぶさったような」、「頭が重い」といった症状です。原因が筋肉の過度の収縮ですので、筋肉や神経の緊張を和らげる薬や抗うつ薬などが効きます。また、ストレッチなどの軽い運動も効果的です。最近はパソコン作業での姿勢の悪さが原因になっている場合があります。「怒り肩」や首の前屈・後屈の姿勢を長時間続けることは避けましょう。

血管が過度に拡張

 次に多い頭痛が片頭痛で、いわゆる「頭痛もち」の方の頭痛です。血管性頭痛ともいわれ、頭のなかの血管が過度に拡張するためにおこります。症状は「ズキンズキンとした痛み」、「ガンガンと割れるような痛み」、「眼の奥がズキンズキンと痛む」などがあります。痛みは拍動に一致することが多いですが、そうでないこともあります。「片頭痛」といいますが、両側におこることも多いです。痛みが強いときに吐き気をおぼえたり、ひどい場合は嘔吐することもあります。また、日常生活での何でもない動作―階段の昇り降りなど─で頭痛がひどくなり、気分が悪くなることが特徴です。このため、仕事や家事にさしつかえることがこの頭痛の厄介なところです。また、普段は気にならない光、音やにおいに過敏になることもあります。現在、片頭痛には各種の効果的な薬がありますので是非専門医を受診してください。また、片頭痛をおこす引き金になる不眠や寝過ぎ、飲食物(チーズ、チョコレート、かんきつ類、アルコール類の摂りすぎ)に注意しましょう。

焼け火箸でえぐられる

 群発頭痛は青年期から中年の男性に多いタイプです。片頭痛のように血管の拡張が原因の頭痛です。特徴は「群発」とされるとおり、1ヶ月から数ヶ月の間、毎日頭痛が起こりますが、ある時を境に頭痛が起こらなくなります。これが半年から数年の間隔をおいて生じます。痛みは激烈で、「焼け火箸でえぐられるような」痛みです。流涙、鼻汁、眼瞼結膜の充血をともなうことが特徴です。各種内服薬の他、酸素吸入など特殊な治療を要する場合もあり、専門医に相談しましょう。
 最後に、「薬物乱用頭痛」に触れます。怖くない頭痛の片頭痛ですが、治療に難渋する頭痛に変貌することがあります。最近、問題になっている「薬物乱用頭痛」です。これは、頭痛薬の服み過ぎが原因で起こる頑固な頭痛です。治療は頭痛薬を中止することしかありません。頭痛薬の服用法は必ず主治医の指導に従ってください。
 以上、簡単に述べてきましたが頭痛は病気ですので、決して我慢せずに専門医の診察を受けるようにしましょう。
京都民医連中央病院 神経内科 中村慎一
2009年8月18日 16:43 |コメント0

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