医療+暮らし

拒食症・過食症とは(1)

あなたのダイエットは安全ですか?
 みなさんのダイエットは行き過ぎていないでしょうか?
 また、自然な食欲にまかせて食べていても、おなかが一杯になれば食べるのをやめられるでしょうか?
 ふつうのダイエットも、行き過ぎると「拒食症」という病気になったり、ダイエットのリバウンドをくりかえすうちに、「過食」がやめられない「過食症」になることがあります。

拒食症・過食症とは

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摂食障害の発症機序
 拒食症ではまず、健康がおびやかされるほどやせているのに、自分ではさほどやせているとは思えず(身体像の障害)、体重が増えることに強い不安感や恐怖感がおこってきます(肥満恐怖)。そのためはじめは病気であることを認めたくない気持ちが強くおこります。
 しかしそのまま病気が進行すると、さまざまな身体の障害・精神の障害(合併症)がおき、最悪の場合には死に至ります。
 またこの病気になってしばらくすると、強烈に食べたい欲求が起こってきて、一気に大量の食べ物を食べてしまう「過食(かしょく)」が起こってくることがあります。過食は自分で止めようと思っても止められないことが多く、そのため過食したあとはまったく自信がなくなり、自分をだめな人間であるとか意志の弱い人間であるとか思って落ち込みます。絶対に繰り返すまいと努力しても、過食の衝動は非常に強いために、過食は繰り返されます。こうして過食の回数がだんだん増えてくると、「拒食症」は徐々に「過食症」に変わってゆくことが多いのです。
 過食をすまいとがんばって拒食になったり、拒食しているうちに過食してしまったりと、過食と拒食はしばしば入れ替わり立ち替わり現れます。そのためこうした拒食症・過食症は、あわせて「摂食障害」と呼ばれています。
 しかし中には、いつまで経っても拒食のままで過食がさほど起きない人もいます。こうした人は自分では意志が強くてよいように思い、過食する人を軽蔑する気持ちになりやすいのですが、実はこうした人がもっとも命を落とす危険が大きいのです。

拒食症・過食症の進み方

  1. 体型が気になってダイエットを始める。(「食べない」)
  2. ダイエットがうまく行き、嬉しく感じる。
  3. そのうち本当に少量の食べ物しか食べられなくなる。食べようとすると気持ち悪くなるのでよけいに食べられない。ご飯やパンなどが悪い食べ物のような気がして、食べるのが嫌になったり怖くなったりする。
     自分の中で食べていいものと悪いものを区別するようになって、だんだん食べ物のことや体重のことばかり考えるようになる。(「食べられない」)
  4. 体重が減れば成功したと感じて自信が戻るが、体重が増えれば失敗したと落ち込み、自分がまったくだめな人間のように感じてしまうため、気持ちの浮き沈みが激しくなる。イライラして、ときには人にあたったり、物にあたったり、自分にあたったりするようになる。
  5. やせが進むと、栄養不足などによりあちこちに体の症状が出始める。
  6. 最悪の場合、死に至る。(死亡率は約5から10%)
  7. ダイエットしているうちに、リバウンドで逆に過食してしまうことも。(「食べたら止まらない」)
京都民医連中央病院・太子道診療所精神神経科 北村 婦美
[まず起こる症状]
  • 極端なやせ:標準体重の85%以下、あるいは80%以下の体重。85%以下というのが国際的基準ですが、日本人は平均的に欧米人より華奢(きゃしゃ)な体格のため、80%以下の体重が基準とされています(厚生省基準)。
    [標準体重の出し方]身長(m)×身長(m)×22(※)=標準体重(kg)
    例 1.60m×1.60m×22=2.56×22=約56.3
    ※複数の算出方法がありますが、ここでは標準のBMI(ボディ・マス・インデックス)による算出方法を紹介しています。
  • イライラ感
  • 生理がとぶ
  • 胃もたれ
  • 便秘
  • 抜け毛
  • うぶ毛が生える、むだ毛が濃い
  • 肌の黒ずみやカサカサ・しわ・張りのなさ
  • むくみ
  • ふらつき
[気づかないうちに進む症状]
  • ちょっとした怪我で骨を折る
  • 肝臓障害
  • 腎臓障害
  • 子宮の萎縮
  • 脳の萎縮
[過食症に進みさらに吐き癖がつくと]
  • たちくらみしたり皮膚や舌がからからになる(体から水分が失われることによる脱水)。長引くと腎障害にも。
  • ものを飲み込むとき飲み込みにくかったり痛い(逆流性食道炎。吐いたものと混じった胃酸が、食べ物の道である食道を荒らしてしまう)。
(2につづく)
2009年7月 7日 10:30 |コメント0

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