しんいちのライブな日々

  路上ライブからロック、ジャズ、クラシック、日本の伝統音楽まで、様々な顔を持つ京都の音楽シーンを、ミュージックフリークで自称・サックス奏者のひらやましんいち記者がつれづれなるままに紹介します。
Author:ひらやま・しんいち
 196★年 愛知県生まれ。小学校前に地元テレビののど自慢大会のオーディションに向かうも会場でビビッてしまい辞退。中学からジャズファンに。高校では音楽部に所属し、文化祭でミュージカル「ウェスト・サイド物語」のトニー役で出演。マリヤ役の女の子に恋するがふられて退部。大学ではジャズバンドの門を叩くも、「テナーサックスなら余っているからいらない」と門前払い。
 特技:ルイ・アームストロングの声色。
 所持楽器:サックス(ソプラノ1本、アルト1本、テナー2本)、トランペット2本、コルネット2本、クラリネット1本、尺八、篳篥、篠笛、竜笛、三味線、大正琴、ギター、リコーダーなど。

夕暮れのバンドデビュー

 宇治共同作業所の中庭から見える空が紅に染まるとき、一人の女性がバンドデビューを果たしました。女性は藤江美樹さん。作業所の仲間や職員の歌声に、ギター伴奏で彩を添えました。
 「アメイジング・グレイス」「ドナ・ドナ」などおなじみのナンバー。会場も徐々に盛り上がってきたとき、友人が私の耳元でささやきました。「ギターの女の子、実はよく見えてへんし、音もほとんど聞こえてへんのやて。どないして演奏できるのかわからんけど。すごいなぁ」・・・。「?」。時折、笑顔を振りまきながら、体でリズムをとりながら、実にこなれた身のこなしの藤江さん。彼女の姿と友人の言葉がどうしても結びつきません。演奏後、本人と話して友人の言葉がやはり真実であったと知りました。視野が極端に狭い視野狭窄(しやきょうさく)と弱視、聴力もほとんどない状態。相方がギターを弾く、手の動きをおぼろげに見てリズムをとっていたのです。
 職業訓練校の先生の演奏に魅せられ、ギターを手にしました。当時は、視力、聴力ともまだあり、独学で習得できたといいます。2年ほど前から症状が急速に悪化。作業所の職員も辞め、一人では外出できなくなりました。今は、ギターが唯一の楽しみ。「依頼があれば、またやりたい」。“その日”に向け、練習を重ねます。 写真=粋に着こなしギターを弾く藤江さん(左)=