想定される参院選公示日(7月4日)まで3週間に迫るもとで、日本共産党の躍進と倉林明子参院議員(京都選挙区)の再選を勝ち取ろうと志位和夫委員長を迎えた演説会が6月16日、京都市東山区の円山音楽堂で開かれました。志位氏が訴える府内の演説会は1日の綾部市に続くもので、同日開催予定の宇治市を含め計3カ所で開催されるのは初めてのこと。円山音楽堂では、3100人の参加者でいっぱいとなり、志位氏が「京都で絶対に負けるわけにはいかない。比例代表で7人以上の当選と抜群の実績の倉林さんを必ず押し上げてほしい。力を合わせて安倍政治サヨナラ選挙しよう。“希望と安心の日本”をつくろう」と訴えると、大きな拍手が起こりました。

 最初に、比例代表候補(第2次)として6日に発表されたばかりの佐藤ちひろ氏があいさつし、「39歳、9歳、5歳の子どもを持つ母親です。共産党の『くらしに希望 3つの提案』の実現と、市民と野党の力で政治を変えるスタートの選挙にしたい」と訴え。井上さとし参院議員(比例代表候補)は「被爆2世として、核兵器禁止条約に背を向け、改憲を進める安倍政権は許せない。くらし充実、原発ストップ、核兵器禁止など希望ある政治を実現しよう」と語り、倉林議員は「国民の声が政治を動かす。安倍政権を倒すだけでなく、消費税10%増税ストップなど明るい政治を実現しよう。共産党を伸ばしに伸ばしてほしい」と訴えました。

 志位氏は、暮らし、民主主義、平和、原発の四つの柱で、共産党の提案や党の値打ちを訴えました。

 まず、「3つの提案」の一つ目、「8時間働けば、ふつうに暮せる社会」を実現しようと呼びかけました。この問題に関わって、倉林議員が「残業代ゼロ法案」の反対討論で、涙で声を詰まらせ「過労死家族の会に会って説明できないような法案は撤回せよ」と迫ったと紹介。「共産党と倉林さんの勝利で、『8時間働けばふつうにくらせる社会』の願いを託してほしい」と力を込めました。

 2つ目の「くらしを支える安心の社会保障」では、「高すぎる国民健康保険料は、大幅値下げこそ必要」と強調。加入者が低所得にもかかわらず保険料が高いという構造的問題を倉林議員が一貫して追及し、安倍首相に「構造的問題がある」と認めさせたことを挙げ、「共産党と倉林さんの勝利で、国保料引き下げを実現しよう」と呼びかけました。

 また、金融庁の審議会が、年金暮らしの夫婦の平均収入と支出の差が30年間で2000万円不足するとの報告書を出したことに言及。年金を自動削減する仕組みである「マクロ経済スライド」で、現在41歳以下の人は夫婦でさらに30年間で1600万円カットされるとして、「『100年安心の年金』といいながら、老後は年金に頼るなとは、詐欺同然のやり方」と批判しました。その上で、貧しい年金の現実を直視して、安心の年金をつくることこそ政治の責任」と強調。「マクロ経済スライド」を廃止して「減らない年金」を実現し、低年金者に一律月5000円、年6万円を上乗せし、底上げをはかろうと訴えました。

 3つ目の「お金の心配なく、子育てができる社会」では、共産党が大学・専門学校の学費を半額にし、段階的に無償化とすることや月3万円の給付奨学金制度を提案していることを紹介。また、義務教育の完全無償化が必要だと語った志位氏は、憲法26条に「義務教育は、これを無償とする」と書いてあると指摘。共産党が与党の伊根町では、小中学校の給食費、修学旅行費、教材費を無償化したとして、「国の制度として学校給食の無償化を実現しよう」と呼びかけました。

 「3つの提案」を実現する財源についてふれ、「合計7.5兆円が必要で、ちょうど消費税3%分になる。消費税に頼らない、大企業や富裕層の負担、米軍への『思いやり予算』の廃止による別の道を提案している」と強調。「政治の姿勢を変えれば財源はつくれる。これを実行できるのは、財界にモノが言える党だからだ」と力説しました。

 「平和」の問題では2つの焦点について語りました。憲法の問題では、志位氏は、安倍首相による9条改憲の問題点を述べ、「安倍政権による憲法9条改悪は許さない」の一点で力をあわせ、「安倍改憲サヨナラ」の審判をくだそうと呼びかけました。もう一つの焦点、米軍基地について、志位氏は京丹後市のXバンドレーダーにより京都の空が米軍に占領されている実態を告発し、「これで主権国家といえるのか。危険な米軍基地を直ちに撤去せよと求めたい」「日米地位協定を抜本改正し、あたりまえの主権国家をつくろう」と訴え。異常な「アメリカ言いなりの」の根源に日米安保条約があると指摘し、国民多数の合意で廃棄し、本当の独立国と言える日本をつくろうと強調しました。

 原発問題では、志位氏は、福島の現状について言及し、避難指示が解除された地域に戻った人は住民全体の25%で、「帰りたくても帰れない」という現状があると告発。福島出身の倉林議員が、国会で東電の営業賠償打ち切り方針の撤回を求めて論戦し、直後に経済産業省が打ち切り見送りを回答し、国と東電を動かしたと報告し、「倉林議員の議席は京都、福島にとってかけがえない議席」と訴えました。

 もう一つ、避難計画の問題にふれ、倉林議員が国会質問で、高浜原発の過酷事故を想定した広域避難訓練で、悪天候により自衛隊のヘリが飛ばず、避難道路は渋滞が発生している道路であることなどを告発すると、安倍首相が「完璧はない」と語ったことを示し、「それなら原発は動かしてはならない」と強調し、原発ゼロ、再生可能エネルギーへの大転換の声を京都からあげていこう」と述べました。

 民主主義の問題では、共産党が政策提言「個人の尊厳とジェンダー平等のために」を発表したことを紹介。男性に比べ女性の賃金が7割だと指摘した志位氏は、「男女の賃金格差をなくし、働く場でのジェンダー平等を実現しよう」と訴えました。選択的夫婦別姓について「実現していないのは日本だけ。結婚する際、同姓にするか、別姓にするかを自由に決められる民法の改正を実現しよう」と強調。性暴力、DV(家庭内や恋人間などの暴力)など女性に対する一切の暴力を許さない社会をつくり、セクハラやパワハラなどハラスメントを禁止する法整備を実現しようと語りました。

 「政治の希望は市民と野党の共闘にある」として、参院選32の1人区すべてで野党統一候補の一本化を実現したことを報告。憲法、消費税、沖縄、原発などの国政の根幹部分で共通政策が実現したと述べ、「すべての1人区で勝利を」と訴えました。その上で、志位氏は「国民の願いを本気で実現しようとすれば『財界中心』『アメリカ言いなり』という『二つのゆがみ』をただすことができ共産党の躍進がどうしても必要」と強調。会場からは大きな拍手が湧き起こりました。

 最後に、志位氏は、「共産党は、京都では府議会でも京都市議会でも自民党に次ぐ第2党、野党第1党」と紹介し、「京都で自民党を倒すとすれば、共産党が倒すしかない。比例代表で第1党になり、倉林議員の勝利で自民党に打ち勝ちとう」と訴え。倉林議員が6年間で行った質問・討論は236回にのぼり、現場の声で国政を動かしてきた豊かな実績を紹介し、「大激戦の京都選挙区で必ず勝利を」と力を込めると、大きな歓声と拍手に包まれました。

 演説会では、7月28日告示の向日市議選の候補者が紹介。思春期アドバイザーのあかたちかこ・京都精華大学非常勤講師、福山和人弁護士らが応援弁士を務めました。

 「志位委員長の話を聞いてみたくて。共産党の演説会に初めて参加した」という京都大学の学生2人は、「共産党が政策を掲げるだけでなく、財源もしっかりて言っていることに驚いた」(男、22歳)、「同じ女性として、倉林さんの国会での活躍に心が動いた」(女、21歳)と話していました。

 同志社大学に留学している20代の男性は、「経済の問題でも具体的な政策を財源とともに示していることに好感を持ちました。米軍基地を撤去するために、(米側との合意が得られなければ)安保条約を解消すればいいというのはその通りです。演説会に向かう途中で右翼の街宣車を見ましたが、日本の真の独立を考えているのは共産党ではないでしょうか」と話していました。