(左から)南、西田、玉本、小原の各氏(12月2日・京都市内)

 日本共産党京都市議団は2日、「LGBTQ・生きやすい社会」と題した講演とシンポジウムを京都市内で開きました。

 市議団が同テーマで講演会やシンポジウムを開くのは初めてのことで、市外からも含め85人が参加しました。

 第1部では、南和行弁護士が講演しました。南氏は、自身が同性愛者であることをカミングアウトし、同姓同士のカップルで弁護士事務所(大阪市)を営んでいます。

 南氏は「同性愛についての否定的情報しかなく、子どもの時から同性愛であることに悩んできた。同性愛であることを家族にも打ち明けられない。それが当事者の苦しみであり、他の差別とは違うこと」と話しました。その背景には「同性愛への差別と偏見があり、同性愛を肯定しない社会がある」と述べました。その上で、「誰にも性的指向があり、その人のありのままを否定せず、尊重される社会にする必要がある」と訴えました。

 第2部は、シンポジウムで、南氏も含め4人のパネラーが発言しました。

 議会質問で自身がゲイであることを公表した日本共産党の小原明大・長岡京市議は「LGBTの人々が暮らしにくい背景には、男女格差を助長する自民党政治がある」と指摘。「こうしたもとで、LGBTの人権を否定する自民党・杉田水脈衆議院議員の論文が生まれた」と述べました。

 精華大学非常勤講師の西田彩さんは「戸籍上は男性だが、社会的には女性として生きている」と自己紹介しました。精華大学に勤務する際、女性として働きたいことなどを相談すると、大学側は「教員の多様性は必要」と言い、歓迎してくれたことを紹介。「感激で涙が止まらなかった」と述べました。

 同市議団の玉本なるみ議員は、2003年に市議会で初めてLGBTを人権問題として取り上げたのを皮切りに、日本共産党が繰り返し委員会で市の施策充実を求めてきたことを紹介しました。17年には、専門家や当事者から意見・要望を聞く学習会を開催し、それを基に本会議で初質問したことなどを挙げ、「今後も取り組みを強化をしたい」と述べました。

 参加者からは、メディアやSNSによる否定的影響への対応策や、会社で性的マイノリティーの人が働きやすい環境をどうつくるのかなど、多数の質問が寄せられました。

 南氏は「当事者は、社会と折り合いをつけるため、職業、進路など人生の選択をせばめざるを得ない状況がある。そうしたことをなくしていく。LGBTへの配慮は特別扱いではない」と述べました。

 司会を同市議団の山根智史議員が務めました。