先の通常国会で可決・成立した「森林経営管理法」(来年4月施行)について考える学習・交流会が6日、京都市上京区の京都府職員福利厚生センターで開かれ、国民森林会議提言委員長の泉英二愛媛大学名誉教授が講演。林業関係者や環境問題にかかわる市民ら70人が参加しました。京都府有害鳥獣問題研究会や京都府農村労働組合、NPO法人京都・森と住まい100年の会など11団体でつくる実行委員会の主催。

■“発動させない運動を”

 泉氏は同法の問題点として、▽森林所有者に「適時に伐採、造林又は保育の実施」を義務付け▽義務が果たせない場合、経営管理権を所有者の同意なしで市町村に譲渡▽災害防止措置命令として森林伐採を市町村が代執行できる─など強権的な内容だと批判。

 同法の狙いが、森林所有者を切り捨て、大型木材産業主導の「林業の成長産業化」であり、伐採業者を林業の新たな担い手に位置付けることにあると指摘しました。従来の林野庁の方針であった、長伐期化(樹齢80年以上)、複層林化、針広混交林化・広葉樹林化を、7年前に50年の短伐期皆伐方式に転換した背景に触れ、「官邸主導の大転換であり、森林資源について後のことは考えず、今切れるだけ切ればいいというモラルハザードが見られる悪法。大企業と海外資本に日本を売り渡していく安倍政権の政策の一環だ」と述べました。

 また、同法を発動させない森林関係者らとの取り組みなどについても紹介しました。

 会場からは、自治体首長の動向や短伐での獣害の影響などについて質問が出されました。泉氏は「多くの人に悪法の内容を広く知らせていただきたい」と呼びかけました。
(「週刊京都民報」11月18日付より)