評論家で「九条の会」呼びかけ人の加藤周一氏(1919-2008)の没後10周年を記念したつどい(白沙会主催)が9月16日、京都市北区の立命館大学国際平和ミュージアムで開かれます。東京大学大学院教授で、九条の会事務局長の小森陽一氏が「加藤周一と九条」をテーマに講演します。

 加藤氏は、東京帝国大学卒業後、医師としての歩みを始めますが、戦後フランス留学をきっかけに評論家として独立。国内外で教鞭をとりながら、文芸、政治について執筆してきました。

 立命館大学国際関係学部客員教授、立命館大学国際平和ミュージアム館長もつとめ、京都を訪れる機会も増えたことから、のちに京都市長選に立候補することになる井上吉郎氏らが1989年、加藤さん70歳の誕生会を画家・橋本関雪の旧邸・白沙村荘で開催。その後、勉強会「白沙会」に発展し、加藤さんは時事問題や文化論など縦横無尽に語りました。

 1990年には、「京都民報」創刊30周年企画で御粽師十五代・川端道喜氏との特別対談も行いました。

 改憲策動に抗して2004年、9人の呼びかけ人で「九条の会」を結成しました。

 井上吉郎さんは「加藤さんは終戦直後に、日本人の忖度する精神構造が戦争を継続させ、その精神構造は戦後も大きく変わっていない、と分析された。その一方で、一人獄中で反戦を貫いた宮本顕治氏の存在が日本人の名誉を守ったと指摘された。だからこそ、護憲の運動を、主体的な個人に求め、『九条の会』を提唱された。憲法九条が危機にある今、加藤さんの思想に学ぶ必要がある」と語っています。

 午後4時。1200円。問い合わせ☎090・1072・6033(白沙会・田中)、☎075・465・5451(同会・井上)。

(写真=加藤周一氏〔1990年〕撮影:有田知行)