近畿日本鉄道(近鉄)が、京都線(京都―奈良県大和西大寺までの26駅)の宇治市以南の6駅で、駅係員の配置時間を短縮し、4月16日以降、朝、夕の通勤・通学ラッシュ時に駅員が不在となっています。この事態を受けて、日本共産党洛南、山城両地区委員会は、利用者アンケートを実施。14日には同党議員らが近鉄に配置時間を元に戻すことなどを申し入れました。

■元職員「ラッシュ時に、驚いた」

 該当の駅は、宇治市=伊勢田、城陽市=久津川と富野荘、京田辺市=三山木と興戸、精華町=山田川の6つ。おおむね、午前6時台から終電まで配置されていた係員が、それぞれ、始発から8時か9時半までと、午後5時半(山田川は4時半)以降の時間帯で、不在になりました。

 事前周知は、駅構内の張り紙。関係自治体や学校などへの案内は、それぞれに異なり、変更を知らない利用者も多数いました。

 日本共産党は、利用者に駅係員の配置時間短縮についてのアンケートを実施。配置時間帯の希望、短縮されたことに不安かどうかを尋ね、自由記入欄も設けました。約2週間で、100人を超えて返信。79人から回答が寄せられた洛南地区委員会のまとめでは、配置時間に「不安」(52人)、「やや不安」(17人)は合わせて87・3%を占めました。短縮前の配置時間帯(早朝から終電)を望む人は57%。始発から終電までを希望する人も34・2%あり、短縮よりもむしろ延長を望む人が多いことがわかりました。

 自由記入では、「学校の行き帰りの時間帯に駅員さんがいないのは、落し物や事故、ちかんに遭った時の対応に不安」(10代女性)、「朝と夕方は乗降客が一日で多い時間帯です。それを無人にするのは理解しがたい」(50代男性)などの訴えがあります。

■視覚障害者の〝バリア〟にも

 たまたま、変更後、視覚障害を持つ子ども(30代)の通院に付き添い、駅を利用した母親からは、駅員が不在で障害者割引の手続きができずに困り、張り紙を見てインターホンによる対応を知ったとのべ、「視覚障害者は(案内の)張り紙もインターホンの設置場所もわからない。もっと親切な対応をお願いしたい」と記されています。

 近鉄は、駅員配置時間短縮の理由を、「採用環境の悪化、鉄道利用者数の減少など、中長期的に鉄道事業を取り巻く経営環境が厳しくなっていくことが予想される」としていますが、アンケートでは、「安全確保を最優先で」、「安全を第一にしない合理化は、公共交通機関の責任を投げ捨てるに等しい」など厳しい声が寄せられています。

 今回の駅員不在時間の拡大について、近鉄の元職員は、「利用者の生命にかかわる事故が起きた時の対応が心配。学生の利用が多い興戸駅で、ラッシュ時に不在とは驚いた」と話しています。

 14日の申し入れは、倉林明子参院議員代理(浅井寿子秘書)、宇治市の山崎恭一、城陽市の河村明子、京田辺市の岡本亮一、精華町の佐々木雅彦各議員が代表して行いました。

 アンケートや直接聞いた住民の願いを紹介するとともに、▽駅員配置時間を4月16日以前に戻す▽利用者の日常生活に影響を与える変更については、利用者の意見をよく聞く▽駅のバリアフリー化を早め、誰もが安心して利用できる―よう求めました。


(写真上=近鉄に申し入れ書とアンケート結果を手渡す〈右から〉河村、岡本、山崎、佐々木の各議員、写真中=アンケートで対話する〈右から〉山崎、大河両議員〔宇治市〕、写真下=利用者の声を聞く岡本議員〔京田辺市〕)

(「週刊京都民報」5月27日付より)