婚約者を沖縄戦で亡くし、戦後、反戦・反差別の立場を貫いた随筆家・岡部伊都子さん(1923~2008)の没後10年を記念し、好きだった歌を届けようとコンサート(主催・藤原書店)が4月29日、京都市上京区の洛陽教会で開かれました。岡部さんと交流のあった歌手らの演奏に約180人の市民が耳を傾けました。

 岡部さんのデビュー作『おむすびの味』のもとになった朝日放送のラジオ番組を父が担当し、幼少の頃から岡部さんと交流があった岡田孝子さんが司会を務めました。

 藤原良雄・藤原書店社主は岡部さんの著作『遺言のつもりで』から言葉を引き、岡部さんが執筆や講演に向かう際の覚悟や信念について紹介しました。

 岡部さんの『シカの白ちゃん』を中国語訳し、作曲も手がけた中国蘇州出身の李広宏さんが「宵待草」、関西を中心に朝鮮半島の歌曲や民謡を歌ってきた在日コリアンの李順子さんが「イムジン河」、沖縄から沖縄問題や平和について自作曲で訴え続けてきた海勢頭豊さんが「鳥になって」、岡部さんの著作の朗読と歌のコンサートを行ってきた野田淳子さんが詩「売ったらあかん」の朗読と「千羽鶴」、パンフルート奏者の岩田英憲さんとピアニストの石原享子さんが「光あれ」などをそれぞれ披露しました。