「国際博物館の日」(5月18日)にちなんで、国内では珍しい分野の博物館を紹介します。京都市左京区の同志社中学校内に開設の「Do☆MATH同志社中学校数学博物館」。「見て、触れて、遊んで、考えよう」と数学への新たなアプローチ方法を提案しています。

 同博物館は、数学科が入る建物の2階と3階にあるオープンスペースを活用して、16年5月に開設しました。
 直角三角形の3辺の長さの関係を表す「ピタゴラスの定理」や因数分解のしくみが理解できる木のはめ込みパズル、2進法の原理を利用した誕生日当てゲーム、ルート(平方根)を用いたトランプなど、教員の手作り教材の紹介をはじめ、生徒が作った和算の問題や自由研究の発表資料も掲示。20世紀前半に同学校で使用していた巻き尺や珍しい携帯用ミニそろばんなども展示されています。

 国内では、東京理科大学に「数学体験館」があり、一般公開されていますが、関西、中学校レベルでは、ほかにはありません。

 博物館を考案した数学科の園田毅教諭(52)は、公式の暗記だけではなくて、なぜ、そうなるのかを考え、数学の概念や法則を学ぶことが大事だと強調し、「数学の概念を可視化し、パズルやゲームを通して、興味・関心を持ってもらえれば」と動機を話します。

 構想から具体化にあたって、ドイツやニューヨーク(アメリカ)、上海(中国)などにある数学博物館を見学し、展示方法を研究。触れて体験できるゾーン、アート作品や数学にまつわる書籍などを見るゾーンを設け、在校生だけでなく、一般に公開もしています。小学生向け、大人向けの見学会&授業(講座)の企画では、大人から「数式を暗記しただけ。因数分解の意味がよく分かった」との感想も出されます。園田さんは、「数学に苦手意識をお持ちの方に、数学の面白さを伝えられればうれしい」と話しています。

 大人向け「Do☆MATH」見学会 5月3日(木・祝)14時~16時、同志社中学校立志館2階数学1教室。先着10人。博物館の見学と講座(数学学び直し)。無料。申し込みは同中学校校務センター☎075・781・7253(月~金、9~17時)。

(写真上=博物館を案内し、展示物を説明する考案者の園田先生、写真下=自然数の3乗の和が1乗の和の2乗を示すブロック)

(「週刊京都民報」5月6日付より)