「京のわらべうたを後の世代にも楽しんでもらいたい」。「えほんと京わらべうたの会『優女』」を立ち上げ、親子遊びに携わる三上啓子さん=京都市北区=が、長年、構想を温めてきた絵本『京のわらべうた いっしょにうたいまひょ』(かもがわ出版、B5判変型・47㌻、CD付き)をこの4月、出版しました。

 ♪おすわりやーす  いすどっせ と歌いながら、幼い子どもを膝に乗せて上下する、ゆすり遊びをはじめ、まりつきや縄跳びなど、子どもから発信された懐かしい遊び歌を中心に選んだ59曲を紹介。京都市生まれの絵本作家、ふしはらのじこさんが絵を手がけました。

 「わらべうたを伝える解説書は、多数ありますが、子どもにも親しんでもらえるような絵本にしたかった」と言う三上さん。節回しが標準化された「わらべうた」が広まっていることも心配で、編集には、京都の暮らしやメロディーのイントネーションが伝わる「京のわらべうた」にこだわりました。絵は、昭和30年代をイメージした服装や暮らしを表現。「最初で最後の出版。目標の80歳で念願がかないました」と言います。

 三上さんは、図書館を作る運動や子ども文庫の運営に関わり、京都家庭文庫地域文庫連絡会(京庫連)で活動。赤ちゃん絵本の読み聞かせ、京のわらべうたの伝承活動は現役です。子守歌も遊び歌も知らない人に出会うことが増えており、「わらべうたを赤ちゃんとのコミュニケーションに取り入れてほしい」と期待します。

 幼少期は戦争中で、親戚の家に疎開した体験があります。「どこの親も生活に必死で、子どもと遊んだり歌う余裕もなかった。わらべうたを歌えるのも平和であってこそ」と話しています。

■25日に出版記念学習会/22日まで原画展

 文庫連は、出版記念の学習会「三上啓子さんと京のわらべうたを歌って、遊ぼう」を25日午後1時半から、ひとまち交流館・京都で開きます。参加費500円(文庫連会員は無料)。問い合わせは、後藤さん☎080・5357・1953。
 また、堺町画廊(中京区堺町御池下ル)では22日まで、原画展が開催されます。
 絵本の定価は、2000円+税。かもがわ出版☎075・432・2868。

(写真=出版した絵本を手に話す三上さん)

(「週刊京都民報」4月22日付より)