■京都大学人文科学研究所准教授/市民とともにもっと政治の言葉を磨いてほしい

 民進党の”解党”により、相当数の前議員が、9条改憲を目指す「希望の党」へと合流しました。憲法に基づく政治の実現を目指し、市民と野党との共闘を求めてきた私たちにとって、民進党の対応は市民への裏切りです。

 しかし、見方を変えれば、前原誠司・民進党代表をはじめとする”改憲派”は、立憲主義の回復を求める運動があったからこそ、自分たちの馬脚を素直に現すことができたとも言えます。

 一部メディアは、今回の選挙を自公安倍政権対希望の党の二極対決であるとか、希望の党への合流を拒んだ「立憲民主党」に共産党を加えた三極などと書いていますが、そうではありません。

 希望の党代表の小池都知事は、かつて「日本会議」議員連盟の副幹事を務め、自民族中心の言動を繰り返す、安倍首相と違いが少ない極右政治家です。真の対決軸は、安倍政権VS市民と野党の共闘。安倍政権の政治の私物化に終止符を打ち、市民の手に前向きな政治、安定した労働を取り戻せるかの選挙です。

 共産党には、野党共闘の立場を堅持し、共闘をさらに広げてほしい。そのために注文もあります。市民とともにもっと政治の言葉を磨いてほしい。市民と膝を突き合わせ、生活のにおいに満ちた言葉を生み出してほしい。有権者は政党や組織の言葉よりも、候補者の全人生から絞り出された声、その人だけしか発せられない声を聞きたいと思っています。