木津川市が昨年末、独立行政法人都市再生機構(以下UR)の圧力に屈し、利用価値のないUR所有の同市城山台の土地を9345万8000円の高値で購入したのは違法として、住民が公金支出の返還を求める訴えを6月9日、京都地裁に起こしました。住民らは第1回口頭弁論(8月17日午前10時)に向けて、支援の輪を広げようと15日、同市加茂町文化センターで、学習会を開催しました。

 問題の土地は、URが開発した住宅地・城山台の西端、同市城山台9丁目1で、面積約46000平方㍍。地目は宅地であるものの、大部分は急傾斜地の山林のまま放置されている残地。北西地域が2013年の台風被害で浸水しています。

 URは15年12月、土地の売却を発表。「18年度までに住宅用地を処分完了する」、「優先協議者(木津川市)と契約締結にならない場合は(民間事業者に)投げ売りする」とあたかも、悪質業者に売却されれば、北西地域の河川改修ができないまま無造作に住宅地が乱造されるおそれを暗示し、契約締結を迫りました。

 木津川市は16年8月、土地購入方針を決定。同年の市議会9月定例会に不動産鑑定士の鑑定にもとづき土地購入費1億4658万円の補正予算を提案し、賛成多数(日本共産党反対)で可決。10月にUR側から譲渡価格(9345万8000円)が提示され、12月に購入しました。この譲渡価格は民間業者が購入する場合の倍以上の高値です。

 住民側は土地購入に関して、▽公金支出▽財産の取得▽契約の締結─のいずれも違法・不当として、今年3月に住民監査請求を行いましたが、5月、請求が棄却されたため提訴に踏み切ったもの。

 訴状では、土地購入のための公金支出は、▽URの圧力により、市自身も行政上の目的はないと明確に認めているもので、不要な財産の取得や不適正な価格での公金支出は違法と定める地方財産法に違反▽URの「民間売却」の強迫があり、民事的に無効▽開発困難地とされるほどの傾斜地で、開発する場合大規模な排水設備を要する土地で、価格は鑑定書にある近隣参考のものでなく、排水設備負担額を考慮に入れなければ正当と言えず、異常に不適正―として違法と主張しています。

■〝UR言いなり〟おかしい 初口頭弁論に向け学習会

 学習会では、住民監査請求人の会・裁判原告の会代表の岩田君子さんが経過報告。弁護団の大河原壽貴弁護士が住民監査請求と住民訴訟について法的根拠からひもとくとともに、今回の住民訴訟の意義を解説。勝訴するために多数が傍聴に駆けつけるなど、市民的関心の高さを示す必要があると強調。

 約30人の参加者から「URと馴れ合い、言いなりの市の姿勢は問題」、「市は財政的に厳しいと言いながら、利用目的もない土地を購入するのはおかしい」、「社会問題にするために支える会を立ち上げ、運動していく必要がある」などの意見が出されました。

(写真上=右側部分が傾斜地で利用価値のないUR所有の土地〔木津川市・城山台〕、写真下=現地を視察する大河原弁護士〔右〕と岩田さんら

(「週刊京都民報」7月23日付より)