「地域の中で、子どもたちを中心に市民の『居場所』となる食堂に」――長岡京市で、4人の女性が「こども食堂」を月1回開催しています。食堂には、地域の人が食材を提供したり、ボランティアが参加するなど、支援の輪が広がっています。5回目が開かれた5月20日は、子どもからお年寄りまで36人が訪れ、大盛況となりました。

■第3土曜午前11時から、セブン商店会の元喫茶店会場に

 「こども食堂ハチドリ」は、「こども食堂をやりたい」という共通の思いを持つ北川憲子さん(49)、山地みのりさん(36)、夏原典子さん(66)、長谷川暁美さん(69)が今年1月から始めました。「ハチドリ」はエクアドルに伝わる、火事で燃える森に「私は、私にできることをしているだけ」と一滴の水を運び続けるハチドリの物語に共感したことから名付けられました。毎月第3土曜日の11~14時、セブン商店会内の「きまぐれcafeぽちゃな」で開かれています。子どもは無料、子ども同伴の保護者は300円、大人は500円で、暖かく家庭的なご飯が食べられます。

 「いらっしゃい、よくきたね。いっぱいあるからね」。食堂では明るい声と笑顔が飛び交います。店には、幼稚園から高校生までの子どもたちや保護者、店の前を通りがかった高齢者など老若男女問わず訪れます。

 この日は主要メンバーの他、男女約10人が市内外からボランティアで参加しました。厨房で料理をつくる係や配膳する係、写真を撮る係や呼び込む係など、役割はさまざまです。食器やタマネギやスナップエンドウ、豆腐、米などの食材の多くは、地域の人が提供してくれました。「住民の力で成り立っている」と夏原さんは話します。

 店の前に立ち、「どうぞ、入ってください」と呼び込みをするのはセブン商店会会長の林定信さんです。市内には他にもこども食堂がありますが、「個人の意思で集まってやっているのはここだけ。だからこそ自由にできる。会としてでなく個人的に応援していて、手伝えることをしたい」と話しました。

 教員を目指す通信大学生の女性(24)は、2階にある子どものあそびスペースを担当しています。「学校じゃ見れない子どもの姿も見れるし、幅広い年齢の人とも接することができて、勉強になります」と笑顔です。

 新聞記事で食堂のことを知り、向日市からボランティアに来ている女性(47)は、「貧困でご飯を食べられない子どもたちのために何か出来ることはないかと思っていました。子どもたちが『美味しい』と言ってくれるのが嬉しい」と笑みをこぼしました。

 北川さんは、「ボランティアの方も『自分にできることをやる』と支えてくれるし、『子どもたちが美味しく食べてくれた』と元気になっている」と話します。「子どもたちや保護者だけでなく、地域の人の居場所にもなっている。みんなが『今月も行こう』と思える食堂にしたい」。 

(写真上=メニューのメンチカツをつくるボランティアの皆さん、写真中=食事をする来店者、写真下=(左から)夏原、北川、長谷川、山地の各氏