京都市美術館(左京区)の再整備工事に関わって、市は9日、敷地内に展示されている彫刻家・富樫実氏の寄贈モニュメント「空(くう)にかける階段’88-Ⅱ」の移設工事の着工を強行しました。日本共産党市議団は同日、工事強行に抗議し、モニュメントの現地保存を求める声明を発表しました。

■5つに切断し、敷地内に一時保管の方針

 移設にあたり、市はモニュメントを切断し、約2㍍ごとに5つに分割し、敷地内の別の場所で一時保管するとしています。

 声明では、工事強行は「寄贈者の思いを踏みにじり、作品そのものの命を奪うもの」と告発。「市美術館自らが収蔵作品を破壊するという前代未聞の暴挙であり、到底認められるものではない」と強調しています。

 また、議会には美術関係者から移設撤去に反対する陳情が議会に提出され、常任委員会において審議する予定となっていたことを指摘。陳情審査を無視した着工は、「重大な議会軽視と言わざるを得ない」と述べています。