「町内会の結束の成果や」――。京都市伏見区深草芳本町に予定されていた「民泊」建設計画について、町内挙げての住民運動が計画を再検討へと追い込みました。住民らは喜びの声を上げています。

■手作りの反対ポスター、説明会開催させる

 予定地は、京阪本線墨染駅から北へ30㍍の所にあり、外国人宿泊者をはじめ観光客にとっては格好の宿泊場所。運営は、市内各地で民泊を開業するCOTOグループの古都(伏見区)で、昨年9月、予定地に建てられた計画概要の標識によると、▽敷地面積約29平方㍍▽木造2階建て1棟貸しの民泊▽着工は1月10日頃を予定―するというもの。

 予定地一帯は、細い路地に戸建てが密集する住宅地。しかも、同町内にはすでに1軒の民泊が開業し、宿泊者が深夜に騒ぐなどの問題が発生しました。

 治安、火災、騒音…。住民は一致して計画に反対の声を上げました。住民有志が署名を集め昨年11月、対策を深草支所に要請。日本共産党の山根智史市議が同行しました。

■住民への不誠実な対応に怒り

 一方、町内会では住民説明会の開催を要求し、1月7日の説明会には、町内大半の世帯から35人が参加しました。町内会が所属する藤森学区自治連合会で、民泊の対策に当たってきた副会長の中村隆さん、田村権一さんが相談役として参加。山根市議も応援に駆け付けました。

 説明会では、住民の住環境悪化を危惧する声に対し、業者は「自分たちは違法民泊ではない。市の民泊指導要綱の要件を満たしてる」の一点張り。説明会に参加した藤井晃さんは「合法やったら住宅地でも民泊はいいのか。納得できる話ではなかった」と言います。

 町内会では、責任ある立場の土地所有者の出席した説明会を要求するとともに、「工事反対 芳本町町内会」と書いた手作りポスター30枚を張り出しました。

 業者は3月14日、町内会に計画を再検討することを伝えてきました。計画地の隣に住む北山隆一さんらはこう話します。「住民の意志が固いことを業者に見せつけた。これが、功を奏した」

 27日、住民有志が予定地に集まり、嬉しいニュースを喜び合いました。「これからも住み続けられる町にしていきたい」

(写真上=町内会が作ったポスターを手に、予定地前で喜ぶ住民と山根市議〔中央〕、写真下=今後の対応を相談する住民有志

(「週刊京都民報」4月9日付より)