20151029-02 いつでもプロミュージシャンの演奏が聞け、客も気軽にセッション(共演)が楽しめるピアノパブ「ふら〜っとホーム」の開店30周年を記念したコンサートが4日、京都市上京区の府民ホールアルティで開かれました。ジャズピアニストのマスター田久保等さんと娘のバイオリニスト友妃(ゆうき)父娘の初リサイタル。2人はほとばしる情熱で思い出の曲を一気に完奏しました。

 ハチャトリアン「バイオリン協奏曲第1楽章」、バッハ「ラルゴ」をはさんでサラサーテ「チゴイネルワイゼン」。オーケストラ公演後半に使う難曲を1、3番目に配し、バイオリンとピアノだけで奏でる〝無謀〟なプログラム。タッチが激しすぎて鍵盤が動かなくなるハプニングも。修復できずピアノを交換して再開された第2部では、ベースの磯部直樹さん、ドラムス安川和博さんのサポートでチック・コリア「スペイン」などのジャズの名曲を壮大な編曲で披露。ラストは後部入口から登場した友妃さんが演奏しながら客席をまわり感謝を表しました。店を支えた等さんの妻・ゆかりさんが会場左手奥から舞台を見守りました。

 同店は、20代から東京の有名クラブのバンドマンとして活躍してきた等さんが京都に帰郷後、1985年2月に四条大和大路上ル西側の雑居ビル4階でオープン。カウンターに小さなピアノを埋め込み、10席のアットホームなスベースで、スタッフの生演奏をバックに歌える店として人気を呼びました。89年12月、四条後院(こういん)通上ル東側の現在の地に移転。グランピアノやドラムセットも置いて本格的な演奏が出来るようにしました。

 プログラムには2人の歩みや心境の変化が込められていました。開店時の学生スタッフが休憩時に弾いているのを聞き、等さんが娘にバイオリンを習わせたいと思った曲が「チゴイネルワイゼン」。習い始めてすぐに〝仕込んだ〟のが「スペイン」でした。父のスパルタぶりに「ついていけない」と一度はバイオリンをあきらめた友妃さんが、練習を再開後先生からほめられた曲がハチャトリアン「バイオリン協奏曲第1楽章」。「一度大きなホールで演奏して見たい」と語っていた父と共演してみようと温め、今夏ウクライナで開かれた地元の名門オーケストラの公演で弾き好評を博した曲でもありました。