20140815-01.jpg 夏の伊吹山(滋賀県の最高峰1377メートル)は下界が猛暑でも、山上は平均気温が18.0度(8月)で涼しい風が頬を横切ります。「日本百名山」の1つでもあり、四季を通じて花畑が広がり「花の百名山」とも言われています。とりわけ夏の伊吹山はまさに高山植物の「百花繚乱」という表現がピッタリです。シモツケソウ、ユウスゲ、キリンソウ、イブキジャコウソウ、シシウド、アカショウマや写真のクガイソウなどが色鮮やかに咲き誇っています。また、伊吹山にだけ咲くイブキアザミ、イブキタンポポなど固有種の草花もたくさんあります。
 クガイソウはヒマラヤ、中国、シベリアや日本に約20種あります。多年草で山地や高地の日当たりの良い草地で見つけられます。葉は4枚~6枚輪生(葉が茎の一箇所から出ている)し、何段にもなっているので九蓋草、九階草という名前が付いたようです。花は青色で下から穂状に咲かせます。
写真は4日に撮影。雨上がりで深い霧でしたが、登山道には四方に広がる花々に見入る人達でにぎわっていました。時折、霧の晴れ間から琵琶湖を眼下に見て、しばし我を忘れて感動していました。早朝のご来光や夜景なども素晴らしく、頂上の山小屋で夜明けを待つのも楽しそうです。
 伊吹山は近畿でも屈指の名山です。古事記や日本書紀にも記され、俳人松尾芭蕉も訪れています。ここで進化した伊吹山固有種がたくさんあり、薬草や研究用の草本の宝庫ともなっています。頂上付近まで四季折々の花畑があり、駐車場からでも歩きやすい3ルートの登山道が整備されています。遠く竹生島や沖島が浮かぶ琵琶湖が眺望でき、頂上には休憩場所やトイレもあります。(仲野良典)
「そのままよ 月もたのまじ 伊吹山」(芭蕉)