20131230-01.jpg 2013年も残すところあと2日とになり、新しい年を迎える準備におわれる京の街。仕込み終わった伏見の酒藏が立ち並ぶ淀川派流南浜界隈は十石船や三十石船も係留されて静かな岸辺の草花もすっかりなくりました。そんな寒い風景の中にも見事なヤツデのおおきな花が咲いており、こころ和みます。
ヤツデ(ウコギ科)の和名は八つ手:学名Fatsia japonica〈ファツュァは8の意味。日本古語で「ファチ」or「ハッシュ」や「八手〈ハッシュ〉と発音していたのに由来しています。葉っぱが20センチ~40センチの大きな葉っぱで7~9裂しており、また魔物を追っ払う力があると信じられて「天狗の団扇(テングノウチワ)」とか「天狗の葉団扇」という名前もあります。茎の先端に直径5ミリほどの白(黄白)い花(雌雄別花)が直径2~3センチの散形花序をつくりさらにそれが円錐状に大きく集まります。
 大きな葉っぱは乾燥させて鎮咳や去痰など民間薬にも用いられていますが、葉っぱなどにはヤツデサポニンという物質があり多く摂取すると下痢や嘔吐などの障害を起こすとのこと。このことから虫除けになって、国鉄時代には駅のくみ取り便所の傍に植えられたとか伝えられています。また丈夫で背も低く邪悪ものが入らないようにと庭木としてよく植えられています。花言葉は八つの手で「分別」。八は末広がりの大きな手で頭などなでてくれるから「親しみ」や薬にもなるから「健康」などです。(仲野長典)
 「窓の外に白き八つ手の花咲きて こころ寂しき冬は来にけり」(島木赤彦) 
 「花かともおどろきて見しよく見れば 白き八つ手のかへし陽(び)にして」(北原白秋)