京都総評の梶川憲事務局長は16日、安倍自民党政権が閣議決定(11日)した「日本経済再生に向けた緊急経済対策」について、批判するコメントを発表しました。
 全文は次の通りです。


1、安倍政権は、1月11日、大型補正予算として、「日本経済再生に向けた緊急経済対策」を閣議決定し、これに当たる補正予算13兆円超を、本日15日に確定しました。その事業費総額は20兆円で、「復興・防災」「成長による富の創出」「暮らしの安心・地域活性化」を重点3分野としました。原資は国の借金となり新たな国民負担となる建設国債を、5兆2千億円規模追加発行することとしています。
 そもそも、日本経済が縮小した原因は、財界・大企業による雇用と賃金の破壊による消費購買力が冷え込んだことが中心です。そのことは、安倍首相自らも国民世論を背景に、「デフレ・円高から脱却し、雇用と国民所得を拡大する」と述べざるを得なくなっている通りです。
2、問題は、経済対策の狙いと実際にあります。財界は、「規制改革をはじめとした成長戦略」を要望(新春のコメント)し、これを受けて、政府は、日本経済再生本部を設置し、その中心メンバーに竹中平蔵氏や財界メンバーを据えるなど、文字通り小泉「構造改革」路線を復活させ、よりいっそうの解雇自由を含む規制緩和と大企業のための公共事業バラマキを進めようとしていることが本質です。同時にこれによって消費税増税の地ならしをしようとすることは、国民を愚弄するものです。また、政府財務省は、地方公務員の賃下げを地方自治体に強要することを表明しています。これらが放置されれば、国民の所得増でなく、経済対策の裏で、構造改革路線・規制緩和がすすみ、国民の税金で大企業がいっそう私腹を肥やし、増税だけが強行され、労働者の賃下げが広がることは明らかです。すでに、安倍政権の動向をふまえて、地方自治体や関連業界が分捕り合戦状態となっています。京都府知事は、懸案の大型公共事業を列挙して、この機にその実現へ猛突進をしています。
3、私たちは、安倍政権の経済施策に対し、以上の問題点を指摘しつつ、同時に、国民の懐をあたため、中小零細企業など地域経済の活性化に実効ある施策とするよう、その具体化に対し要求します。
 防災目的というのであれば、すべての公共的役割を果たす病院や学校、保育所や福祉施設などのすべての建物や生活道路の改修を、地域の活性化と言うのであれば、住宅改修助成制度、伝統地場産業の救済・支援、ものづくりなど地域経済支援へ振り向けるとともに、公契約条例など、その予算を効果的に活用できるルールづくりを急ぐよう要求します。また、地域の福祉・医療・教育の人員の確保と劣悪な賃金・労働条件の改善のために活用することを求めるものです。
 今日の雇用状況では暮らしてゆけないと言う悲鳴があがり、消費が冷え込む、いっしょう安売りの下で賃下げや劣悪な雇用状況が広がるという悪循環を脱却するために、安倍政権と地方自治体に対し、真に国民経済の活性化に実効ある施策となるよう、強く求めるものです。