市民シンポジウム 世界遺産条約採択40周年と日本の条約批准20周年を記念した「市民シンポジウム」(実行委員会主催)が4日、京都市中京区内で開かれました。全国から120人が参加。研究者や住民団体が遺産保全の取り組みを報告し、市民参加の重要性を訴えました。
 実行委員会代表の片方信也・日本福祉大学教授が基調報告し、世界遺産条約採択(72年)から日本の同条約批准(92年)まで20年が経過したことについて、「政府の国土開発戦略が優先された結果だ」と指摘。京都・鎌倉・奈良の住民が条約批准を求めて政府に要請するなど、住民運動と世論の果たした役割を報告し、「遺産の保存・保護には、市民の運動が不可欠だ」と述べました。
 奈良女子大学古代学学術研究センターの上野邦一名誉教授は、「遺跡や遺産の保全には共通課題がある」と指摘し、「行政や専門家だけが保護活動を行うのではない。地域の将来計画に住民の意見を反映させていくことが重要だ」と述べました。
 このほか、京都会館をはじめ奈良市の平城宮跡、広島県福山市の鞆の浦、神奈川県鎌倉市の街並みなどの保全活動の報告が行われました。