解体する皆保険制度

歯科医師、元京都府歯科保険医協会副理事長 秋山和雄さん

 TPPへの参入で一番懸念しているのは日本の皆保険制度の解体です。混合診療へ道を開き民間医療保険に加入している人しか診療が受けられないという、今のアメリカのような「命のさたも金次第」という状況になるのではないでしょうか。歯科ではすでに入れ歯などで保険外の自由診療が行われていますが、保険に入っていない人は100%自費です。TPPで歯科医療の内容はまだ明らかにされていませんが、患者の負担増は避けられないと思います。さらに受診抑制が進み、健康の目安である「80歳で20本の歯」の達成は程遠くなるでしょう。TPPに賛成しているのは経団連で、自動車産業や電器、コンピューター関連など一部の大企業です。自分の会社のもうけのために国民は負担増を押し付けられた上、大被害を被る、そんな国のあり方、経済のあり方はおかしいでしょう。外需頼みの経済成長は失敗してきているにもかかわらずまた同じ路線を押し進めようとするのは問題です。(「週刊しんぶん京都民報」2012年10月14日付掲載)