京の六地蔵めぐり 大文字の送り火も無事済んだ22、23日の両日は「京の六地蔵めぐり」です。
 写真は朝から猛暑の中、大善寺に詣る人々で、手前は6色のお札を束にして吊してさらなる祈願を祈ります。右京区から参拝に来た年輩の2人連れは「今回で3年連続で来てます。近くに桂地蔵(丹波・山陰街道)さん、と鳥羽地蔵さんをめぐって来ました。明日は山科と鞍馬と常盤地蔵さんをめぐります。何よりもいつまでも2人が元気、健康でいられますように、お願いしました」とニコニコ顔で話します。
 六地蔵巡りは平安時代にさかのぼります。849年(嘉祥2年)、遣唐副使を辞退し隠岐に流され、後に復活して参議になった博学・文人家の小野篁(たかむら)がある日、熱病に侵され危篤状態に陥り、地獄界に落ち込みさまよいます。恐ろしい責め苦の地獄界にあって、地蔵菩薩が救済しています。地蔵菩薩は「娑婆世界に帰って、地獄の惨状を人間界に伝え、我に帰依せしめよ」と篁に託します。篁はかろうじて病癒えて奇跡的に復活し、深く感動して、木幡の大木の桜を切って六体の地蔵を刻みます。やがて時代は下り後白河法皇や平清盛に勅命。京の街道入り口6箇所に1体ずつ分置し、疫病退散、旅の路上安全などを祈ったのが始まりです。
 その後、京の宗教行事として広く庶民親しまれました。その発祥の寺院が大善寺で六地蔵の地名にもなっています。(仲野良典)