いのち守る京都市政に 門川市政のもと、京都経済の落ち込みは深刻です。
 市内の事業所の減少率(98年│09年)は16.4%で、政令指定都市の中で、大阪市に次ぐワースト2位です。
 また、この4年間、毎年約400件近い企業が倒産。業種では、建設業が連続して最多を記録しています。このうち65%(11年)が資本金1000万円未満の小規模事業者です。
 このほか、小売店(従業員2~4人)は5年前と比較すると1750店が減少。10年間で、12商店街が消滅しました。
 こうした現状に対して、門川市長は、何の対策も取ってきませんでした。例えば、ほかの地方自治体は、入札参加資格に「地元に本店を置く企業」などの条件をつけ、地元中小企業への受注拡大をはかっています。
 ところが、京都市は、「市内に支店」を持つ企業も参加可能としているため、市外の大企業が超安値で落札するケースが後を絶ちません。
 門川市長は、選挙直前、地元中小企業への公共事業受注機会を増やす「公契約基本条例」を政策に掲げました。しかし、現状の入札制度をどう改善するのかなど、具体的内容はまったく示されていません。

市内の中小業者を排除

織部設備工業代表取締役 織部由造さん(81)

 清水寺をはじめとする重要文化財や伝統的建築物の消火・防火設備工事を中心に行っています。
 全国各地で仕事をしていますが、京都市の入札制度は本当によくありません。手間のかかる小口発注を避けて一括発注して、大企業しか入札できないようにしています。下請け、孫請けの仕事も市外の業者に回り、市内の中小業者は排除されています。
 これに比べて、他の自治体からは地元企業を育成していこうという姿勢が伝わってきます。先だっても、ある市で仕事を請け負いました。その際、同市は、地元業者に私の会社と一緒に仕事させることで、技術力を向上させようと援助をしていました。
 京都市からは、こうした熱意とやる気は一切感じられません。門川市長は「公契約基本条例」などと言い出しましたが、問題のある入札制度を放置しておいて、よく言えたものだとあきれています。
 これに対して、中村和雄さんの掲げる「公契約条例」は、市が工事を発注する際、下請、孫請けまでも事業者を地域内に限定しています。実に徹底しています。
 ぜひ、中村市長実現で、厳しい現状にある建設業者の底上げをはかってほしいと思います。

地域担う小売業が危機

京都市小売商総連合会会長 伊藤義浩さん

 京都市小売商総連合会は12業種、約1100店舗で構成されています。世界同時不況もありこの3年での小売業の落ち込みは激しいものがあります。
 私が経営していた牛乳屋は最盛期約470軒あったのが100軒ほどになりました。荒物雑貨は市内の各学区に1、2軒はあったのが市内全域で15軒ほどになりました。食肉店は約700軒が200軒を割るほどになっています。食品関係は、生協の宅配や大手スーパーの安い商品に、太刀打ちできず減っています。
 相次ぐ廃業などで、組合の運営も厳しい状況です。このままでは京都の小売業は壊滅します。行政の融資制度もありますが、借金をするぐらいなら廃業を選択する状況です。我々も努力をしていますが、まったく先が見えません。
 また、京都の町の歴史と伝統を守っているのは小売業者です。地元の寺社仏閣の修繕費用を寄付したり、地域の清掃や行事の運営などの中心を担っています。大手企業や大手スーパーはそういった地域のことには関わりません。京都の町を支える担い手がいなくなることを危惧(きぐ)しています。

「週刊しんぶん京都民報」2012年1月22日付掲載)