十日恵比寿大祭 10日は十日恵比寿大祭。各寺社で商売繁盛、家運隆昌、交通安全を祈願します。写真は東山の恵比寿神社。
 四条大和大路を下った京の恵比寿神社の門前は露店が立ち並び、境内では鉦や太鼓が鳴って夜遅くまで賑わいます。本祭の前日の9日は宵恵比寿でちょうど成人の日の祝日と重なって大勢の参拝者がありました。8日の招福祭や11日の残り福には芸子さんや舞妓さんなどの宝恵かごが出されたり、福餅が振る舞われます。恵比寿大祭の5日間には毎年約10万人の参拝者があるといわれます。縁起物の福笹や人気大寄せ(たくさんの人形がつるしてある傘状の飾り)、福を呼ぶお足(小さなこっぽり下駄)などを買い求めて、神妙に本殿に祈願をした後、耳が遠い恵比寿さんに聞こえるように本殿横にある大きな木板を叩きます。
 毎年訪れているという島根県の夫婦は「もう年ですから商売は引退。今は健康第一。それに宮城県に親戚がいるんでなんとか早く立ち直ってほしいと願ってます」と言います。飾った福笹を持った光通信など通信の設営工事をしている自営業者は「ちょっと前までは電柱や屋根に上がって工事してたけれど、年で高いところの工事が無理になって仕事激減。今年はちょっとでも仕事がもらえるようにと来ました。気休めかもしれませんが」と夫婦ともニコニコ顔で語っていました。
 社伝によれば、広大な境内を持つ建仁寺を創設した栄西禅師が中国の帰路途上、暴風に遭遇しましたが、海上に恵比寿神が現れ難を逃れたことから、建仁寺創建時に境内に恵比寿神社が立てられてといわれます。その後、幾たびかの戦火に見舞われましたが、産土神として親しまれています。(仲野良典)