京都市の国民健康保険は、保険料の3年連続値上げ、滞納・未納者への財産差し押さえの急増など、全国でも最悪の水準で、市民にとって限界です。実態を連載で告発します。第1回目は、国保加入世帯の変化と高すぎる保険料です。(国保問題取材班)

子どものために保険証を

19政令市の非正規雇用率

 「失業して以来、アルバイトを2つ掛け持ち。睡眠時間は毎日2、3時間しかありません」 妻と小学4年生までの子ども3人を養う男性(42)=右京区=は言います。2番目の子どもは、先天性の足の骨の持病があります。治療費に今年、80万円かかりました。
 「子どものために、どうしても保険証がいるんです。月1万円の国保料がなかなか払えなくて」
 2年前、自動車部品製造会社を解雇されました。それまでは、派遣社員。正社員と同様に働き、月収は30万円ありました。
 アルバイトは、日中は自転車撤去作業、夜は倉庫の仕分けをしています。朝8時に出勤。帰宅は、翌日の朝4時です。毎月の収入は約25万円。家のローンや子どもの治療費を払うと、残るのは約10万円です。通勤費節約のため、往復1時間半、自転車で通います。
 「派遣切りにあった仲間は、みんな子持ち。国保料に苦労しています。保険料、何とかならないんでしょうか」


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無職・被用者が9割近くに

京都市国保加入世帯の職業構成

 京都市の国保加入世帯の数と構成は近年、大きく変化しています。
 加入世帯数は3年間で約6万世帯が減りました。08年、約28万世帯(全世帯の43%)あったのが、11年には約22万世帯(全世帯の33%)です。原因について、市は若年層の減少や加入者が毎年後期高齢者医療制度(対象75歳以上、08年発足)へ移行しているとしています。
 加入世帯の構成は、自営業者の割合が減少し、社会保険に入れない派遣や非正規雇用(被用者)と失業者など無職の人の占める割合が増加しています。04年の85.3%から09年には87.1%(グラフ)になっています。
 非正規雇用者の加入割合が増加したのは、全就業者に占める非正規雇用の割合が政令指定都市中最高(表)(27.4%)になっている現状があります。

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失業してからずっと無保険

 所得の少ない非正規雇用や失業者にとって、保険料は重い負担となっています。ワーキングプアと呼ばれる年間所得200万円で、40代夫婦と子ども2人世帯の場合、年間保険料は所得の21.6%(43万2000円)です。社会保険の保険料は会社と折半することから、同所得の場合所得の5.7%。国保料の4分の1です。

ハローワーク前で窮状語る

 ハローワーク京都七条(下京区)前。仕事を探しに来た50代男性は言います。
 「保険料を払ったら生活できへん。失業してからずっと無保険や。大腸がんと膀胱がんを患っているやけど、どうしたらいいんや」
 収入月10万円。1人暮らし。家賃や水光熱費を払うと残るのは4万円。食べていくのに精一杯です。
 先日、血尿が出て病院に行ったところ、治療費は全額自己負担で約1万円。症状の悪化も治療費の負担も心配です。
 「国保は失業者の最後の命綱やなかったんか…」
 和装関係の会社の倒産で、失業したばかりの男性(45歳)も、「月4万円の国保料を言われて、びっくりした」と言います。「保険料払ったら、食べていかれへん」と無保険です。子どもは娘2人。中学2年と3年です。長女がぜんそくを患っています。
 「子どものことを思ったら、ほんまは保険証、直ぐにも欲しいんやけどな」

アンケートに悲鳴相次ぐ

 来年2月の京都市長選挙で市政刷新を目指す「10・13市民大集会実行委員会」が9月から、市民アンケートに取り組んでいます。アンケートの返信には、高すぎる保険料と市民の暮らしの実態が書き込まれていました。
 「生活を切り詰め、日ごろ具合が悪くても、病院に行くのをためらってきました。妻が体調悪く、動けなくなって救急車で搬送され、入院しました。これからどうなるのでしょうか」(伏見区、70代、男性)
 「主人が会社をリストラされ、収入はありません。食べる物も食べずに国保料を払い続けています。生きるパワーがどんどんなくなっていきます」(西京区、50代、女性、主婦)
 「仕事はパート。保険料を滞納して、子どもの学資保険も貯金も全部取られてしまいました。所得は200万円。3万円の保険料が支払えるのか考えて見てください」(伏見区、50代、女性、パート)

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高すぎる国保料への市民の声

〈ハローワーク京都七条前〉

  • 昨年末、腱鞘炎が悪化して退職。次の仕事が見つからず国保に加入。月1万5000円の保険料が払えず、9カ月分を滞納。滞納を清算するため貯金をはたきました。結局、腱鞘炎の治療費がなくなり、通院を中断しています。(女性、47歳)
  • 国保料は減免して月1万5000 円。失業給付が今月切れるので、来月から保険料支払っていけるか心配。早く仕事を見つけたい。(男性、32歳)
  • 6月末失業。無保険。前年の所得で保険料かかるので、最初から国保に加入する気はありませんでした。貯金をとり崩したり、アルバイト収入で月13万円。家賃5万円。とても余裕はないです。病気もしてないので、国保に入ることはないです。(男性、52歳)

〈「実行委員会」アンケートから〉

  • 生活苦のため、保険料を滞納。分割で少しずつ払ってきましたが、区役所は説明もなしに、生命保険を差し押さえました。もしもの時どうすればいいのか不安です。生きるのがつらいです。(山科区、60代、女性)
  • 来年から国保に加入となるので、区役所で保険料を尋ねました。年間68万円と言われ、びっくりしました。年金生活になる我が家にとっては、とても重い負担がのしかかってきます。(西京区、60代、男性、会社員)
  • 無職になって国保に加入しましたが、2カ月で8万円以上の納付書がきました。病院に行ったのも1、2回。国保に入らなければよかったと思いました。理不尽です。(左京区、40代、女性)
  • 生活はますます苦しくなってきました。風呂の水は1週間に1回取り替えているだけ。従って湯船に入らない、トイレの水はお小水は流さない、着るものは、下着と靴下を数カ月に1回補充するだけ。(中京区)
  • 国保料が昨年月2万8700円。今年は月4万200円。これだけ払うのだから、病院にいって医療費を使いまくってやろうと思いますが、3割負担でさらにお金がいることになるので、ばかな考えは冗談で済ませることにしました。(南区、男性、60代)

「週刊しんぶん京都民報」2011年10月30日付