私の友人は外国人の留学生で、食品製造のアルバイトをしています。話を聞くと、日本人のアルバイトより時給額が相当低いのですが、問題はないのでしょうか?(22歳、女性、京都市)

「同一労働同一賃金」で国籍による差別は禁止

(80)留学生の時給低いイラスト・辻井タカヒロ

 同一労働同一賃金が原則です。「担当業務が異なる」、「経験・労働能力・資格に違いがある」など、合理的理由がなければ、賃金に格差を設けることは許されません。
 労働基準法3条は、使用者が、労働者の国籍、信条、社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について差別的取扱をすることを禁止しています。
 外国人の留学生や、アルバイトにも同法の適用があります。同じ仕事をしているのに、外国人だからという理由で一律に日本人よりも相当低い賃金を支給しているのであれば、同法が禁止する「国籍による差別扱い」の疑いがあります。
 とくに、使用者は賃金に関して(1)決定、(2)計算・支払方法、(3)締切り・支払時期、(4)昇給について、労働者に書面で明示しなければなりません(労働基準法15条、同施行規則5条)。
 さらに、常時10人以上を使用する事業場では、就業規則で賃金に関する事項を定めることが必要です(同法89条2号)。
 アルバイトは、いわゆる「パートタイム労働法」(正式名、短時間労働者雇用管理の改善等に関する法律)が適用されますが、同法も同様に、賃金について文書交付を事業主に義務づけており、さらに、待遇決定に当たって考慮した事項を、労働者に説明する義務を課しています。
 また、厚生労働省は、外国人を雇用する事業主に対する指針で、「主要な労働条件について、外国人労働者が理解できるようその内容を明らかにした書面を交付すること」を求めています(2007年告示276号)。
 対応としては、(1)賃金に関する文書を確認すること、(2)時給に差があることについて説明を求めることができます。その結果、(3)外国人というだけで一律に時給を低く抑えているとすれば、労働基準法3条違反ですので、労働基準監督署に申告して救済を求めることができます。(4)最近は、外国人労働者の問題を解決した経験をもつ地域労働組合も増えています。迷わず相談されることを勧めます。(「週刊しんぶん京都民報」2011年3月20日付

わきた・しげる 1948年生まれ。龍谷大学教授。専門分野は労働法・社会保障法。