ハギ 「秋の七草」の1つハギは、9月中旬から各地で咲きはじめています。
 ハギは豪華さはなく、少し素朴ですがハギにまつわる事柄はゆたかにあります。京都御苑東側の梨木神社では萩まつりもありました。また、「萩の寺」として知られる出町柳にある常林寺の前庭もハギでいっぱいです。
 一方、鴨川河川敷のハギは今が一番見頃で、長く枝垂れた枝先に紫紅色の小さな花をいっぱいつけています。中でも三条大橋から四条大橋までの鴨川左岸(東側)のハギは見事で京都市内では一番きれいという人もあります。こぼれんばかりのハギの花が長い枝に美しく堤防上から石垣に垂れてなびく姿は、河川敷遊歩道を散策する人々の目を楽しませています。
 ほとんどのハギはミヤギノハギ(Lespedeza thunbergii)という種類で山野に自生しており、よく見ると絹状の伏毛があり葉っぱは3出複葉で花は蝶形。葉の脇から少し長い枝(総状花序)をだして咲いています。ハギは別名「秋知草(あきしりぐさ)」ともいわれ、秋の訪れを真っ先に告げてくれます。万葉集では約140首も詠まれており、花の中でもっとも多く、古代の人々にもっとも愛された花なのかもしれません。
 円山公園の山手に入ると枝がしだれないヤマハギが自生しています。シロバナハギは変種。漢字の萩は中国語でなく国字(和製漢字)。(仲野良典)
 「秋萩も色づきぬればきりぎりす わが寝ぬごとや夜はかなしき」(よみ人しらす)