友人に地域ユニオン(労働組合)に入らないかと誘われました。私の職場は労働組合が無く、給料が安いことなど職場の不満はいろいろあります。でもすぐにユニオンに入って会社とたたかうなど、そんな勇気はありません。それでも地域ユニオンに入るメリットはあるのでしょうか?(男性、25歳、京都市)

相談、学習、交流し仲間を信頼し闘う

(50)地域ユニオンイラスト・辻井タカヒロ

 憲法は、労働者は誰でも団結して、自分の労働条件を自分たち自身の力で改善することを権利として認めています(第28条)。この団結が労働組合です。日本では個々の企業別に、しかも正社員だけで組織する企業別組合が一般的でしたが、中小零細規模事業所では組合がなかったり、非正規雇用は加入できないという問題点がありました。
 誰でも個人で加入できる「地域ユニオン」や「地域労組」が全国各地で活発な活動をしています。
 主な活動は労働相談です。経験豊かな相談員が電話や面接で相談を受け、労働法の知識と色々なネットワークを活用して問題解決にあたります。労働基準監督署に申告したり、顧問弁護士と協力して法的対抗措置をとることもあります。
 労働組合がとくに力を発揮するのは団体交渉です。労働者個人では力が弱いので使用者(会社や経営者)と話し合っても労働条件改善を実現することは簡単ではありません。しかし、労働組合であれば、労働条件改善要求を使用者に提出して、団体交渉を求めることができます。
 使用者は、この団体交渉を正当な理由なく拒否することはできず、誠実交渉が義務づけられています。団体交渉拒否は違法な「不当労働行為」となり、労働委員会に救済を求めることも可能です。
 国が定める最低賃金を下回る場合や、労働基準法違反がある場合には、個人でも労働基準監督署の力を利用することができますが、そうでない場合には、労働組合に加入して団体交渉の力で改善することが最も有効な方法です。
 労働組合には他に、(1)労働法などの学習、(2)同じ悩みをもつ労働者同士の交流、(3)共済制度など、多くのメリットがあります。「保険」の意味で組合に加入して、多くの知識を身につけ、何か問題が生じたときに団結の力を活用して自分を守ろうとする労働者も増えています。気軽に相談して、信頼できる労働組合を見つけて下さい。(「週刊しんぶん京都民報」2009年11月8日付)

わきた・しげる 1948年生まれ。龍谷大学教授。専門分野は労働法・社会保障法。