日本共産党京都府委員会は18日、笠井亮党原発・エネルギー問題対策委員会責任者(衆院議員)を迎えた講演会「原発からの撤退を~いまこそ政治決断を」を、京都市下京区の京都産業会館シルクホールと綾部市の市民センターの2カ所で開きました。同党が6月13日に発表した提言「原発からのすみやかな撤退、自然エネルギーの本格的導入を―国民的討論と合意をよびかけます」の内容と、この間の運動の成果などを学ぶもので、京都市内で950人、綾部で380人が参加しました。会場での主な質疑・回答は次の通り。

「地震活動期」の指摘は?

原発講演会
 質問 提言の中では「地震の活動期に入っている」ことが指摘されていないがどう考えるか?
 笠井 それは私たちも検討しました。提言の2ページにある「(3)世界有数の地震国・津波国に集中立地することの危険」の部分に、「東日本大震災によって、これまでの地震や津波による危険の専門的な知見を見直す必要が学界からも指摘されています」「地震にたいする科学的知見の到達点は、それぞれの原発の地震による危険性を科学的に評価するところまで進んでいるとはいえないのです」とあり、地震予知連絡会の現・元会長の意見を紹介しています。
 いろんな専門家がどういう段階にあるのか、今の到達点を見直して示す必要があると意見交換し、検討されている段階なんです。日本共産党の提言ではこの指摘に留めておくことにしました。専門的な知見が見直され、成果が出されるまで待ちたいと思いますが、いずれにしても日本列島のどこにも大地震や大津波の危険性があり、「安全な土地」と呼べる場所などないということがポイントです。

電力不足をどう考える?

 質問 原発を再稼動しなければ電力不足になるとして、節電が要請されているが、どう考えるのか?
 笠井 節電は関西電力から要請されなくても、みなさんがやらなければと思っていることなので、大いにやっていきましょう。
 「原発利益共同体」をつくる企業・財界などは「原発を再稼動しなければ電力不足になり、経済が大変になり、企業が海外に移転する」と主張しています。これは国民的に大いに議論しなければならない問題です。
 まず何よりも、住民の安全と電力供給を両てんびんにかけることはできません。原発が危ないと分かっていて動かすことはできないのです。
 電力不足をどうするか。4割しか稼働していない火力発電を7割まで稼働させると、原発がなくてもやっていける電力を供給できます。しかし火力発電はCO2が出ます。ですから、安易に置き換えるやり方をせずに、液化天然ガスとか、自家発電などをも活用させる必要があります。国民が節電で頑張っているのだから、電力会社、大企業も頑張るべきです。
 「企業が海外に逃げる」と言いますが、どこに逃げるのか。アジアは電力供給が不安定でしょっちゅう停電します。大企業は「がんばろう日本」と言っていますが、今こそ自ら貯めた246兆円もの内部留保を使うべきです。
 電力会社や国は、原発事故で電力不足が起こることを想定して、電力供給について考えておくべきでした。しかし、「安全神話」にしがみつき、今になってあたふたしています。財界の電力不足キャンペーンのごまかしを見抜いて、節電努力しながらしっかり電力供給させようではありませんか。(「週刊しんぶん京都民報」2011年7月31日付