日本共産党京都府委員会は18日、笠井亮党原発・エネルギー問題対策委員会責任者(衆院議員)を迎えた講演会「原発からの撤退を~いまこそ政治決断を」を、京都市下京区の京都産業会館シルクホールと綾部市の市民センターの2カ所で開きました。同党が6月13日に発表した提言「原発からのすみやかな撤退、自然エネルギーの本格的導入を―国民的討論と合意をよびかけます」の内容と、この間の運動の成果などを学ぶもので、京都市内で950人、綾部で380人が参加しました。会場での主な質疑・回答は次の通り。

放射能や被ばくの測定を

原発講演会
 質問 放射能への不安を解消するために、放射線の測定や被ばく調査などの充実が必要では。低線量の被ばくをどう考える?
 笠井 まず事故を収束させるために、何が起こっているかを明らかにすることです。これには、国と東電が情報を隠さず明らかにする、その上で英知を結集して対策を講じる。被害を拡大させないためにも重要です。
 ホットスポットなど不安を感じるのも当然です。電力会社はもちろん国が責任をもって綿密な調査と汚染マップを作り、少しでも高いところは除染や土を取り除くなどの対策を丁寧にやるしかありません。福島県では30年間続けるという健康調査や対策を各地で丁寧に行われなければなりません。
 放射線による健康被害は、急性の影響だけでなく、長い目でみる必要があります。少量でも長期間浴びると将来がんになる可能性があります。放射線を浴びるのは少なければ少ないほどよいという、放射線防護の原則の立場に立って対応する必要があります。
 牛肉の問題について、今まできちんと対策を取らなかった責任は大きい。出荷前にきちんと調べる。もちろん出荷されたものの追跡は必要ですが、汚染されたものは出荷しないことが大事です。
 そうした被害にはきちんと補償し、また原発事故のすべての被害に速やかな賠償、仮払いを実施するべきです。対策をきちんととらせるために頑張っていきたいと思います。

自然エネルギー転換は?

 質問 自然エネルギーへ転換するという政策を聞かせてほしい。いつまでにどうやってやるのか?
 笠井 自然エネルギーへの転換を進めているドイツは、2022年までに原発から撤退すると表明しています。現在、総発電量に占める自然エネルギーが16%で、それを22年までに35%、50年までに80%にするという基本計画をつくりました。
 日本の技術水準からみてもやれないものではないと言いたい。風力発電で世界に展開しているのも日本企業であり、太陽光パネル製造もかつて世界一でした。しかし、原発依存のために開発が進まず、遅れをとっているのが現状です。今後、5~10年の間に総発電量の25%を占める原発をゼロにする中で、全体の2、3割を自然エネルギーにするという目標は、不可能ではありません。
 経団連は原発推進ですが、財界の中でも孫正義氏など転換を訴えている人もいます。経済界とも意見交換しながら、税金の使い方も切り替え、大いに挑戦したいと思います。(「週刊しんぶん京都民報」2011年7月24日付