「視点」京都展 31日まで、京都市美術館別館で「視点」京都展が開催されています。第36回を迎えた「視点展」はプロ、アマ問わず全国公募で680人1324作品3230枚の応募から厳選された視点賞、奨励賞や入選作品は170人739枚。その中から40数人の作品を全国6カ所で巡回展覧会として開催されています。
 京都展会場は地元作家3人の作品も加えての展示。今回は東日本大震災の特別展示もされ、3月11日大地震直後の撮影から4月5月の被災地の現状と東京など帰宅難民など37枚や1990年チェルノブイリ原発事故、1971年の女川原発反対闘争も展示されています。
 なお、1階の展示場では日本リアリズム写真集団京都支部の支部展(出品は17人)とフィチュア展、広幡紀美子さんの子どもたちを撮った「ほっぺとぽんぽん」が同時開催されています。
 「視点」委員長の金瀬胖さんは挨拶文で、「3月19日の本選考の間に大地震がありました。私たちは震災前に撮られた写真を、その後に見ることになります。…応募者のなかには地震で被災された方も多くおられました。人里もろともに流し去った津波の力に茫然とするほかありません。懸念されていたとは言え、戦争のために開発された核が、日常生活を、環境の全てを襲う事態が起きてしまいました」と言い「私たち写真集団も「写真で何ができるか」と問い続け、「写真家は何を移しているか」、「何を見逃しているか」、「残る写真とは何か」と自問しながら歩んできた」と言います。
 鑑賞に訪れた女性=左京区=は、「これらの写真を見るとホントに写真っていうのは大切だと思う。人の感覚だけでなくて生の事実・真実を映し出して私に訴えています。この『牛乳を廃棄する酪農家』、『放射能汚染から逃れる子どもたち』など一つ一つ大切な場面でこころに残る」と言います。
 また右京区の男性は「ボランティアが収集した写真を洗っている場面がTVで放映される映像と同じ場面でも、この展示されてる写真は違う。なにか迫力というか訴える力がありますね」と見入っていました。(仲野良典)