東京電力福島第1原子力発電所の事故を受け、日本共産党は、「政府は、原発からの撤退を決断し、原発をゼロにする期限を決めたプログラムの策定を」と提唱、国民的運動を呼びかけています。原発問題、エネルギー政策についての府民各層の主張・提言をシリーズで紹介します。

すべて廃炉に

 私は立命館大学理工学研究科で物理学を研究していますが、私の研究が社会でどのように使われるかを常に意識しています。私は一部の大企業を擁護する御用学者ではなく、自らの科学研究を国民のために役立てたいと考えています。
 関西で研究する大学院生らが研究分野の枠を超えて意見交換する場として関西若手研究会を結成しました。
 この会は「科学者の社会的責任を自覚し、科学の各分野を総合的に発展させ、その成果を平和的に利用するよう社会に働きかける」ことを目指し、様々な取り組みをしています。
 今は、原発問題の研究情報の交流や署名宣伝、デモ行進に参加したり、講演会を催したりしています。
 昨年は、福井県の高速増殖炉「もんじゅ」を見学しました。「もんじゅ」は、燃料を増殖しながら発電しようという原子炉です。プルトニウムを増殖するために、高速の中性子を減速させないナトリウムを冷却剤として使っています。このナトリウムは周囲の水にふれると激しく反応し、大事故へいたる可能性を指摘されています。今回の震災と福島第1原発事故を見て「もし福井の原発で同じような規模の事故がおこったとしたら関西はより深刻になる」という恐怖感にかられました。
 物理や工学の研究をすすめることはよいですが、「未完成で危険な技術」を使用するのは間違っています。
 「もんじゅ」に限らず、原発はすべて「未完成で危険な技術」であると、今回の震災で国民の前にさらけだされました。今こそ原発をすべて廃炉にすることが必要です。(「週刊しんぶん京都民報」2011年6月26日付掲載)
「原発からの撤退を求める署名」用紙ダウンロード(10kb)