伏見革新懇シンポジウム伏見革新懇は12日、シンポジウム 「未曾有の大震災・原発からみえてきたもの~『福祉と防災のまちづくり』を考える」を伏見区総合庁舎ホールで開催し、約90人が参加しました。
  第1部では京都大学大学院教授で自治体問題研究所の岡田知弘理事長が、「東日本大震災から見えてきたもの」と題して基調講演。民主党政権下で「創造的復興」路線の台頭とTPP推進・消費税増税路線との統合的な発想は、被災地住民や国民意識との大きなずれがあり、民主党による「政治主導」の限界は明らかだと批判。大災害の特徴や被害状況を分析し、大震災がつきつけた基本問題を解明しました。
 そして、「復興をめぐる対抗軸が鮮明になった」として、「創造的復興」路線・構造改革・TPP推進の道ではなく、被災者の生存権を基本においた「人間の復興」を呼びかけました。
 第2部はシンポジウムが行われ、地質学者の志岐常正京大名誉教授が「伏見を中心とする京都南部の防災の問題」を、民医連京都第2中央病門祐輔院長が「ひと・いのちを大切にする社会の復権を」と題してそれぞれ報告。田中敏博さん(京都中小企業政経研究会世話人)がコーディネーターを務めました。
 志岐さんは今回の大災害は大地震・大津波・レベル7の原発事故という「巨大複合災害」であると指摘。生命、家族、生活条件、環境、福祉が喪失・破壊されたこと、防災科学の欠点と盲点、「電化、情報化」社会の脆弱性と安全神話捏造があったことを強調。京都市防災マップ「地震編」と「水災害編」や最近の「週刊しんぶん京都民報」紙面を紹介しながら、京都南部で想定される主な災害(震災・洪水と土砂災害、火災、竜巻災害と若狭原発群からわずか70キロ、琵琶湖20キロしかない放射能汚染災害など)を詳しく分析。「地域の健康で文化的生活・国土環境のありかたなど」を基本とした対策を具体的に指摘しました。
 門さんは、震災後ただちに現地での医療活動と支援活動に入った経験から災害医療のあり方や日本、京都の医療状況、そしてもし京都で災害が発生したらどうするのかを問いかけ、人間らしい生活のできる真の「地域包括ケア」の環境づくりを進めるべきだと訴えました。
 参加者から、高層マンションは地震でどうなるのか、天ヶ瀬ダムや喜撰山揚水発電所は大丈夫か、巨掠干拓地、琵琶湖疎水への影響、常用薬が薬局からなくなっている、などの質問が相次ぎました。
 また、東日本へのボランティア活動に参加した青年と退職教員が現地の状況、問題などをリアルに報告し、参加者から大きな拍手がありました。
 日本共産党の穀田恵二衆院議員と井上哲士参院議員がメッセージを寄せました。(仲野良典)