府高退教総会 京都府立学校退職教職員の会(略称「府高退教」)の11年度総会が京都市左京区の教文センターで5日開催され、府北部から南部まで40人近い会員が出席しました。
 この1年で亡くなった会員と東日本での多くの犠牲者に対して黙祷したあと、金加行雄会長は未曾有の原発事故にふれ、「昔、吉田首相が全面講和を主張した東大の南原学長を曲学阿世(きょくがくあせい)の輩(やから)と攻撃しましたが、昨今のテレビには真実を述べる科学者もいますが、曲学阿世の輩がたくさん登場しているではないか」と厳しく批判しました。 
 「原発事故の正確な理解のために」と題して、元府立高校物理の教諭(現在は講師)の市川章人さんが記念講演。科学的根拠にもとずく物理教材の小冊子とプロジェクトを使ってとてもわかりやすく講演しました。福島原発はどんな事故を起こしたのか、原子炉・原子力発電とはどんなしくみか、すべての災いの元は核分裂であること、放射線とは何か、安全神話とは何かなど、常日頃の高校生を相手にした物理授業を彷彿とさせ、「危険を正しく知って、正しく怖がり、正しく対処しよう」との教材感が貫かれていました。市川さんは「今まで20回を超える講演をこなし、さらに約20の講演予定が入っている。この小冊子を生かしてももらい参加のみなさんが多くの人たちに語ってほしい」と要望しました。
 総会では、川上雅詮事務局長らから1年間の取り組みや会計、向こう一年間の取り組みなどが提案され、全員一致で採択。17人の役員が選出されました。討論では、原発告発やマスコミ報道のありかた、原発をなくす行動の呼びかけなど近年にない多数の発言がつぎつぎありました。また、大阪府の「日の丸」「君が代」のファッショ的な強硬にも厳しい糾弾の発言も相次ぎました。
 総会終了後は懇親会が行われ、会員の各分野での活躍や近況報告とともに大半が原発と「君が代」問題にふれ、何とかしなければという熱気ある思いが溢れていました。(仲野良典)