日本共産党京都府議団(前窪義由紀団長、11人)は28日「5月臨時議会を終えて」談話を発表しました。
 全文は以下の通り。

 5月23日から27日までの予定で開かれていた5月臨時議会が28日未明に閉会した。
 本議会は、4月に行なわれた統一地方選挙後初めての議会で、 正副議長の選出と議会選出の監査委員の選任、および各常任委員会、特別委員会の委員構成と正副委員長選出等を行なうとともに、東日本大震災と原発事故による深刻な被害と影響が出る中、被災地・被災者支援等のための補正予算など6議案が提案された。我が党議員団は、第6号議案「京都府府税条例の一部改正の専決処分について承認を求める件」に反対し、他の議案に賛成した。
 1、補正予算には、震災と原発事故の影響を受け、極めて厳しい状況にある中小企業への制度融資などが提案された。我が党議員団は、震災直後の3月25日に、震災の影響を受ける中小企業への支援強化を求める知事への緊急申し入れを行ない、また経済団体や中小業者等を訪問し、その状況と要望を踏まえ、補正予算の充実を求め積極的に論戦した。
 提案された東日本大震災緊急融資制度について、据え置き期間のさらなる延長、利率の見直しや利子補給、運用に際し信用保証協会が、要望にそった判断をすることを求め、緊急雇用対策事業については、被災された方の正規雇用や深刻となる雇用状況の改善にむけた特別の努力、京都に避難してこられている被災者の方への訪問をはじめとした丁寧な支援等を求めた。
 2、原発事故を受け、京都府防災計画の暫定的な見直しが行なわれることとなった。我が党議員団は、4月15日に、原発の安全対策を求める申し入れを知事に行ない、また福井県の原発群について(1)新規建設も含め世界の中でも最も集中して立地していること、(2)活断層直近に存立しており、しかも関西電力は1586年の「天正大地震」により若狭湾を含む沿岸での津波被害を記した文書があることを知りながら、これまで「津波による大きな被害の記録はない」と説明してきたこと、(3)稼働後30年を超えた老朽原発が8基、そのうち40年超が2基もあること、(4)見通しのない核燃料サイクルが進められていること、(5)処理のメドがない9226体もの使用済み核燃料が保管されていることから、特別な対策の必要性を指摘し、運転再開の中止、原発周辺の断層評価の再検討、耐震安全性や津波対策の抜本的見直し、老朽原発の計画的な廃止、もんじゅ再開とプルサーマル計画の中止を求めた。また、今後の防災計画の見直しにあたっては、政府が原発をなくす計画をもつことを求めるとともに、福島第一原発の事態や教訓をふまえ、福井に立地する原発群全体の事故を視野に入れた防災想定とすること、府域全体を原子力防災計画の対象とし、モニタリングポストを全域に設置すること、EPZ・緊急時計画区域を拡大する際、避難所や医療機関の確保等、国による財源保障と府として責任をもって整備すること、琵琶湖や由良川汚染対策等を想定すること、住民および市町村の意見を十分に反映させることを強く求めた。
 こうした中、「地域経済の活性化と原子力発電所防災対策の強化を求める決議」及び「東日本大震災からの復興等に向けた意見書」が全会一致で可決した。
 3、第6号議案「京都府府税条例の一部改正の専決処分について承認を求める件」は、税負担軽減措置を6月末まで延長するものであるが、その対象に資産流動化法による特定目的会社が取得するもの等、担税力のある大企業や事業者が中心となっているため、こうした減税を中止し被災者支援と復興のために全力をあげる自治体への財源に回すべきであり、反対した。
 4、我が党議員団は議会開会日に、各議員団に対し、正副議長選出にあたっては議席数に応じた選出ルールを確立すること、長年にわたり常任委員会、特別委員会の正・副委員長が、「与党会派」によって日本共産党を排除するという異常な事態を改めるよう議会の民主的な構成を求める申し入れを行なった。
 ところが、自民・民主を中心にした「与党会派」のみの話し合いにより正副議長を選出し、さらに各常任委員会、特別委員会の正・副委員長をすべて「与党会派」で独占することとなった。これは、選挙で示された民意を無視し、議会の民主的運営にも反し、とうてい「開かれた議会」とは言い難い暴挙である。ましてや昨年12月に成立した「議会基本条例」にも背を向けるもので、我が党議員団はこの暴挙に対し厳しく抗議するものである。
 その上、「与党会派」による正・副議長等選出の調整に時間がかかり、議会日程を延長せざるをえなくなり、また、東日本大震災と原発にかかわる補正予算審議が深夜になるなど府民的にとうてい説明できるものではない。我が党議員団は府民目線で「開かれた議会」とするため引き続き全力を挙げるものである。
 未曾有の被害をもたらした東日本大震災と原発事故に対し、政治の在り方が問われるもとで、我が党議員団は、被災地・被災者の皆さん、府民の皆さんと心ひとつに、いのち守る京都府政づくりに向け、全力を挙げるものである。