アスベスト被害原告団 アスベスト(石綿)を含む粉じんを建設現場で吸い込み、健康被害を起こした業者らが8日、国と建材メーカーと相手に損害賠償を求めて提訴しようと原告団を結成しました。
 原告団は建設業者やその家族ら10人。提訴は今年5月の予定で、全国で取り組まれている訴訟の5番目となります。大阪、福岡でも準備されています。
 アスベスト被害者らは昨年4月、「京都建設じん肺・アスベスト被害者と家族の会」(寺前武夫会長)を結成。被害者間の交流を進めてきました。
 原告団は、アスベスト被害の危険性について1940年に指摘されていながら2006年に全面禁止されるまで放置されてきたと指摘。責任は国と建材メーカーにあるとして、▽「石綿救済法」をすべての被害者を対象とし、十分な救済・補償を受けられるよう抜本改正する▽「被害者救済基金」をアスベストを使用した国・建材メーカーが拠出して設立する▽建設現場従業者と近隣住民のばく露防止対策▽アスベスト疾患の医療体制と治療方法、除去対策など総合的な対策を行う―などを求めています。
 原告団長の寺前武夫さん(76)は、2006年に肺がんが発症してはじめてアスベスト被害だと知ったとのべ、「私のように苦しむ方は多いだろう。その方のためにも命の限りたたかいぬきたい」と決意を語りました。
 弁護団長の村山晃弁護士は、「高齢化する被害者らのためにも一刻も早く解決したい」と述べました。
 全国で初めてアスベストの危険性を告発し、検診などに取り組んできた京建労の田辺正男委員長は、「すべての建設労働者が被害者であり、予備軍だ。組織をあげてたたかいたい」と訴えました。