TPP参加は、特に農業において心配です。なぜなら、林業では1951年に原木丸太が、1964年には木材関係のほとんどが関税ゼロになりましたから、その影響を林業関係者は身をもって知っているからです。
 関税ゼロの影響は、国産丸太の価格が一番高いときから7割減り、その後の経済成長の中で、プラスチックをはじめとする石油製品や鉄・アルミニウムが木材に取って代わられ、90%あった自給率も一時18%まで落ち込みました。戦後の復興期に住宅再建を急がねばならなかったやむを得ない事情は察するものの、関税がゼロになるという影響は、今の林業界を見ると、その影響の大きさを感じます。
 日本の国土の68%が森林で、その森林とともにある農業が国民生活を支えてきたことを考えると、TPP参加は、地球規模の経済環境を考えると、一概に反対はできませんが、第一次産業を支える人々に対するマイナスの影響が十分に解消されるという前提で、検討されるべきだと思っています。(「週刊しんぶん京都民報」2011年01月30日付に掲載)