日本共産党京都市会議員団は23日、同議員団がまとめた「京都市中小企業振興基本条例策定に向けての大綱」発表に当たり、幅広い意見や議論を求めるアピール文を発表しました。以下全文を紹介します。


京都市中小企業振興基本条例策定に向けての大綱の提案にあたって

日本共産党京都市会議員団

今、京都の中小企業の実態は…
 原油高騰、リーマンショック、昨年の円高と投機マネーが日本と京都の経済に混乱と戦後最悪の不況をもたらしています。市内の業者から、不況の長期化によって、融資の返済期間が迫る中で、「借り換えの保証料負担が大変」、あるいは「近い将来返済できるめどがたたない」といった声が聞こえてきています。このまま経済の悪化が推移するならば、事業所の減少と失業者の増大、雇用の非正規化が進み、中小企業の経営は壊滅的な打撃を受け、地域経済は疲弊しきってしまいます。 
 ところが経済産業省は、先日、中小企業への資金繰りを支援してきた景気対応緊急保証制度を、三月末で打ち切ると発表しました。これでは、戦後最悪の水準に落ち込んでいる京都の中小企業の経営と景気回復に、冷水を浴びせることになりかねません。
中小企業の振興と再生こそ京都経済を支える大道 
 京都市内の中小企業は、全事業所の99%、雇用の70%を占めているように、京都経済の主役であり、この中小企業が元気になってこそ京都経済は活性化します。また、中小企業が雇用の大部分を支えていることから、雇用の改善と働く人の収入の増加を生みだし、消費も拡大します。中小企業への支援が、京都経済の活性化と豊かな市民生活の実現につながり、そのことが市民と企業の担税力を高め、市財政再建にも大きく貢献できます。
 また、伝統産業から先端技術、観光産業など京都の中小企業のもつ「ものづくり」の技は世界でもトップクラスであり、日本の宝として経済の中心に位置づけることが求められています。
国の中小企業憲章の精神を活かして
 1999年に改定された中小企業基本法は、施策の対象を「元気で意欲のある中小企業」と狭めて、すべての中小企業を対象とした施策が後退し、京都市の中小企業支援策も後退しました。そのなかで、2010年6月に閣議決定された中小企業憲章は前文で、「中小企業は、経済をけん引する力であり、社会の主役である」と規定し、「国の総力を挙げて、自立する中小企業を励まし、困っている中小企業を支え、そして、どんな問題も中小企業の立場で考えていく」と明記しています。
 ところが、現在検討中の新京都市産業振興ビジョン(仮称)では、「京都の特色を生かしたものづくりや新産業創出、人材交流などを取り組む」ことは言及していますが、「困っている中小企業を支える」という視点がなく、不十分と言わざるをえません。
 市長は議会答弁において「中小企業憲章の内容を十分に踏まえる」と発言しています。京都市が総力を挙げて、中小企業を支えるために、どんな問題も中小企業の立場で考える必要があります。新産業振興ビジョン制定にとどめず、中小企業振興基本条例をつくり、京都市として中小企業を産業振興の柱に据え、市の責務を内外に明確に示すべきです。
基本条例制定を力に京都市の政策転換を
 さらに、制定された基本条例のもとで、中小企業関連予算の大幅な増額と融資制度の拡充、職員による中小企業実態調査、住宅リフォーム制度や公契約条例の制定、小規模修繕登録制度の改善、など具体的な施策や制度を創設・充実することが必要です。
 日本共産党市会議員団は、中小企業振興基本条例策定に向けた大綱案を発表し、幅広い方のご意見やご議論の上で、基本条例が制定されるよう提案するものです。