老白梅 山科区の南端にある真言宗山階派勧修寺(やましなは かじゅうじ)の白梅が今満開です。江戸時代初期の建造である書院(重文)と寝殿前に植生するこの白梅は、同じ初代の親、2代目の子、そして孫の3代にわたって花を咲かせています。
 写真は孫の白い花です。親は根っこだけになり、子も今は枯れて幹がねじれるように横たわっています。その姿が「伏した竜の形をした老梅の幹」として、「天下無双」の「臥竜の老梅」と名付けられています。約300年前の江戸期の御所から移植されたと伝えます。たった一本の白梅ですが「桜千本梅一輪。桜はいっぱいあるのが美しいが、梅は寒風吹きすさぶ中にたった一輪咲いているのが美しい」とは同寺の説明です。
 同寺の庭園は、平安時代以来といわれるスイレン、ハナショウブなどが咲き誇る氷室池がある池庭と、書院前にある水戸光圀寄進という灯籠の周りに広がる樹齢700年のハイビャクシンの枝を広げている平園の2つからなっています。氷室池は京都一水鳥が多いといわれシラサギやダイサギ、カモ、カワセミなどが飛来します。3月末になれば参道の桜並木にはいっぱいの花を誇らしげにつけるでしょう。(仲野良典)
 「梅の花それとも見えず久方の 天霧(あまぎ)る雪のなべて降れれば」(よみ人しらず)