茂山さんの数々の名言

 京都のいろんな選挙では、いつも応援していただいた茂山千之丞さんがなくなった。
 2004年のお正月に「しんぶん赤旗」の企画で対談したのが最後となってしまった。あの対談のなかには茂山さんの数々の名言が散りばめられている。そのいくつかを紹介し、お悔みの気持ちをあらわしたい。

 茂山 戦争が終わったときからお上のいうことは疑ってかかるようになりました。それが私の「ひねくれ」の始まりです。昨年、出雲の阿国が歌舞伎を始めて四百年でした。歌舞伎は「傾く(かぶく)」の当て字です。歌舞伎者はもともと常識から外れた行動や扮装をする。為政者にとってたいへんじゃまものです。新しい文化を創造するのは、全部ひねくれ者だったのです。
 市田 共産党もある意味では、ひねくれ者なんですが、軸を移すとそれが正当になる。何を中心とするかで見方が変わってきますね。
 市田 茂山さんには以前「党名を変えないのがいい」とおほめをいただいたことがあります。
 茂山 共産党以外、いまの代議士のなかに自分がかつてどこの党に所属していたか、さらさらといえる人は少ないでしょう。
 市田 名刺をつくったとたんに使えなくて新しい党名の名刺につくり直すという話がありましたね。
 茂山 それは狂言になりそうだ。
 茂山 狂言の究極の笑いに「わらく」という言葉があります。「和楽」と書きます。平和だからこそ思い切り笑える。チンパンジーも笑うことがあるそうですが、平和の笑いができるのは人間だけです。世界中に「わらく」が満ち満ちたら、戦争は起こりません。そういう世の中であってほしいものです。

 「お豆腐狂言」(形式にこだわらない茂山家の狂言)の面目躍如である。(「週刊しんぶん京都民報」12月26日付)