わだつみ不戦の誓い 戦没記念像「わだつみ像」生誕60周年を記念した鼎(てい)談「わだつみ 不戦の誓い」が28日、京都市北区の立命館大学で行われ、市民や学生ら100人が参加しました。
 『きけわだつみのこえ 日本戦没学生の手記』を刊行した中村克郎氏の長女で2008年に山梨県甲州市に「わだつみ平和文庫」を開設した産婦人科医の中村はるねさんと、ドイツ平和村で1999年からボランティア活動や資金援助を続けている女優の東ちづるさんが鼎談し、同大学教授で平和ミュージアム名誉館長の安斎育郎氏がコーディネーターを務めました。
 中村さんは、克郎氏が学徒出陣で戦死した兄の徳郎氏から託された1冊のノート「日本戦没学生の手記」から『きけ――』を刊行し、収集していた平和に関する10万冊を引き継ぎ、同文庫を作った思いを語り、「病床にいる父が『戦争の否定と軍備の廃絶のためのたたかいに、命死のうと思う』と書いています。父や伯父の重い言葉に応えて、何とかして残したいと思いました。命を生み出す医師として、平和を訴え続けたい」と述べました。
 東さんはウズベキスタンやアンゴラなど戦地で傷ついた子どもたちをドイツに連れて行き、治療して母国へ帰す「ドイツ平和村」の活動を紹介。「子どもたちが母国に帰って平和をつくる大人になってほしい、そのための活動です。何度も子どもたちをぎゅっと抱きしめます。守られているよ、愛しているよと伝わることが平和につながっていくと思っています。愛は戦争の対極にあります。愛は必ず他者とかかわり、縁の連鎖を繋ぎます。国の前に同じ地球人として考えられれば戦争なんておきないはず。大人たちが頭と手で平和を作ることを伝えていってほしい。ユーモアも交えながらね」と語りかけました。
 安斎氏は、戦争被害として原爆症や枯葉剤の影響が今も続いているとして、実態の解明、被害者救済と支援、責任を明確にすること、繰り返さないために何が出来るかを考えることが大切だとのべ「お二人にまいていただいた平和の種を育て、地球人として一歩を踏み出しましょう」と呼びかけました。