シオン 平安神宮の庭園が無料開放された19日、大勢の参拝客が訪れました。
 平安遷都1100年を記念して1895年(明治28年)に創建された平安神宮には、約3万平方メートルの広大な4つの庭園(神苑)があり、池泉回遊式の庭園として名勝に指定されています。
 とくに南神苑は当社創建以来からの名園で平安時代の特色である野筋と遣水(やりみず)が設けられ、竹取物語・伊勢物語・古今和歌集・枕草子や源氏物語に登場する草木、約180種類が植栽されて平安京の四季折々の花をさかせます。
 今は、道筋両側にハギ(萩)が紫や白のちいさな花をいっぱいつけています。また、高さ2メートルほどのシオンは薄い紫の花を散房状につけて参拝者を堪能させています。このシオンの栽培は古く、「今昔物語」にワスレグサ(カンゾウ)に対して、君を忘れないの意味をこめてワスレナグサ(花言葉=追憶・追想・君を忘れず)として登場します。
 当日は庭園前の額殿で冷たい宇治茶の水出し玉露や温かい玉露が無料で振る舞われて参拝者も舌鼓。奈良市から初めて訪れたという若い二人連れの女性は「ちっさいなハギの花がかわいいし、シオンもきれいです。これから清明神社と二条城にいきます。京都で一日のんびり散策です」と笑顔で話していました。ハギもシオンも10月上旬ごろまではきれいでしょう。(仲野良典)
「栖(すみか)より四五寸高きしをにかな」(一茶)
※野筋=庭園で築山の裾などにゆるやかな起伏を造って、野草を植えて野の景趣をうつす。