佐村河内守「交響曲第一番」演奏会 広島市出身の被爆2世で全聾の佐村河内守さん(46)が作曲した「交響曲第一番“HIROSHIMA”」の全3楽章世界初演となる演奏会が14日、京都コンサートホール(京都市左京区)でありました。満員の1500人が平和への祈りを込めた大交響曲に聴き入り、核なき世界への誓いの場となりました。
 演奏したのは秋山和慶指揮の京都市交響楽団。「交響曲第一番」は35歳ですべての聴力を失った後、慢性的な大音量の耳鳴りと闘いながら完成させた70分超の大作。今回、世界で唯一無二の被爆2世のクラシック作曲家として原爆の惨劇を伝えいていく決意から“HIROSHIMA”と改題しました。演奏会は、佐村河内さんの著作をきっかけに、一昨年京都で開いた心身に障害を抱える子どもたちのピアノ演奏会などを通じて交流してきた、「らく相談室」主宰の池添素さんらが企画しました。
 「被爆2世の血をたどった」という曲は低音の重苦しい旋律に始まり、原爆の惨状という「闇」と平和への祈りである「光」がせめぎあうように展開。最も重たく長い「絶望」の章という第2楽章を経て、暗い雲間から差し込む一筋の光を感じさせる平和の鐘の音が響き渡って終わります。
 演奏終了後、鳴り止まない拍手の中、壇上に上がった佐村河内さんは、「今を生きる子どもたちが将来、核兵器のない世界で暮らせるよう、核廃絶に向けて一緒に行動を起こしてほしい。今日、これだけ多くの人が平和を祈る場となったことがうれしい」と語りました。演奏会には、秋葉忠利広島市長、演奏会呼びかけ人でノーベル物理学賞受賞の益川敏英氏が参加しました。