六道まいり 連日の猛暑、先祖の霊を家庭に迎え、大文字の送り火であの世へ送る大事な年中行事がお盆です。
 六道珍皇寺、千本閻魔堂と千本釈迦堂では六道詣りの風習があります。六道とは地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天上界の6つの世界を善悪の所業によりいずれかの冥界を巡るとのこと。東山区の六道珍皇寺は、平安時代から東山の鳥野辺に死者を送り出す途上にあり、冥界と現世の分かれ道で「六道の辻」と呼ばれていました。
 7日から10日は六道まいり。大勢の人たちが参拝し、同寺の「迎え鐘」を撞き精霊を迎えます。7日、8日は同寺院の周辺で鐘を撞く順番待ちの行列が長く続きます。
 同寺院の鐘楼はすべて壁に囲まれており、釣り鐘は見えません。写真のように鐘楼の壁の穴から綱をだして引いて撞く珍しい梵鐘で、この響きは十万億土の冥界の精霊にまで届き、精霊を迎えるといます。
 古来から、この世を去った人、今生きている人の平安を求めて祈り、鐘を撞く庶民の心は少しも変わりません。(仲野良典)
 「迎鐘にこたへして来る山彦(こだま)哉」春丸