民主運動史を語る会 全国で唯一、地域の運動史の記録に取り組んでいる「京都民主運動史を語る会」が今年結成30周年を迎え、22日、記念講演会が京都市中京区の職員会館かもがわで開かれました。
 34人が参加し、同会代表の岩井忠熊立命館大学名誉教授は、「30周年を迎え、12人の創立呼びかけ人全員が亡くなられていますが、戦後の民主運動史の成功も失敗も伝えていくことがわれわれの責任」とあいさつしました。
 広川禎秀大阪市立大学特任教授が「自由主義者・恒藤恭の思想形成について」と題して記念講演。広川氏は、後に滝川事件で京大法学部教授を辞任する恒藤の自由主義思想が文学青年から思想青年、さらに法学を経て社会科学の探求の道へ進む中で形成されていったことを戦前の論説や交流のあった芥川龍之介との手紙などから浮き彫りにし、「恒藤の軌跡は、日露戦争後の大正期に形成された自由主義的民主主義的思想が戦後の日本の平和主義・民主主義的思想を準備した具体的な事例」とのべました。
 同会は1980年2月20日、住谷悦治、木村京太郎、塩田庄兵衛、稲田達夫の各氏らを呼びかけ人として創立し、1900年代の京都を中心とした平和・民主主義運動の調査研究に取り組んできました。また、現在188号まで刊行されている会報誌「燎原」(隔月刊)は公刊の社会運動史にない秘話や体験記が掲載され、貴重な証言・記録集として注目されています。